「中国の内政干渉」に豪反発、緊張高まる 一方、中国の報復を恐れる声も

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 オーストラリアのターンブル首相は5日、海外からの政治献金を禁止すると発表した。中国の政治的影響力を阻止する狙いがあると見られる。ワシントン・ポスト紙によると、野党労働党のサム・ダスティヤリ議員が中国からの政治献金を受けた上で、中国側に有利な政治行動を行ったとして、騒動になっていた。議員自身は事態の発覚を受け辞職している。中国による政治コントロールの試みはオーストラリアに限らず、世界的に進行していると指摘するメディアもある。

◆オーストラリア政界に伸びる中国の手
 辞職した議員は中国から政治献金を受け、見返りとして中国側に有利な行いをしていたようだ。ワシントン・ポスト紙では、南シナ海での中国側の行動を肯定する言動をしていたと伝えている。また、香港の活動団体とオーストラリア労働党の代表との面会を妨げるよう画策していたという。

 同記事ではこの議員の件以外にも、中国系オーストラリア人に対し、与党自由党以外への投票を呼びかける手紙が送られる出来事があったと報じている。差出人は不明だが、中国共産党との関連が囁かれているようだ。中国外務省はこれを否定しているという。

 ガーディアン紙によると、中国が政治的操作を試みたと思われる事例は、オーストラリア以外にも世界中で急増しているという。海外の大学内に共産党の支配する機関を設立するなど、献金以外にも様々な手法が採られているとのことだ。ある外交関係のライターからは、軍事拡大を含めた大規模な行動の一環であるとの観測も出ている。

Text by 青葉やまと