オバマ大統領、予算案で共和党に歩み寄り その内容とは?

オバマ大統領、予算案で共和党に歩み寄り その内容とは? オバマ米大統領は10日、3兆8000億ドル規模の2014会計年度の予算教書を、議会に提出した。
 富裕層向け増税や社会保障費の抑制などを通して、今後10年で合計4兆ドル以上の赤字を削減するという。

 新たな税の特徴としては、780億ドルの幼児教育費の拡充が盛り込まれた。財源には、たばこ税を1パック当たり1.01ドルから1.95ドルに引き上げ、その税収を充てるという。
 歳出面では、生活費の算出に新方式を採用し、2015年に通常の消費者物価指数(CPI)から、いわゆる「連鎖式CPI」に移行する。社会保障給付の生計費調整分が減るほか、所得税収が増え、今後10年で合計2300億ドル節約できるという。
 ただ、社会保障費の抑制は、共和党が富裕層向け増税などに合意した場合に限ると強調した。
 海外各紙はこれを、共和党の妥協を引き出すための「一か八かのギャンブル」だと報じた。

【共和党の反応】
 政府と共和党は2011年以来、予算協議で部分的に合意してきたが、今両者は違う戦略を追求しているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
 先月、今後10年で財政均衡を目指す予算案を策定した共和党のライアン下院予算委員長は、「共通の土台はほとんどない」と述べた。多くの共和党員はライアン予算案のもとに結束したと同紙は報じた。
 共和党のベイナー下院議長は、社会保障抑制については評価したものの、「増税と抱き合わせる必要はない」と批判した。

【今後の論点は?】
 最も論争を呼ぶのは「連鎖式CPI」の採用だとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
 この新方式について、多くのエコノミストが「より正確だ」と述べ、反対派は「高齢者に課す自己負担の医療費を適切に反映していない」と述べたとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
 この社会保障抑制案について、リベラル派と労働組合は懸念を示したという。アメリカ労働総同盟産別会議(AFL-CIO)の会長は、「誤りで、弁解の余地がない」との声明を発表した。
 ただ、単にメディケア(高齢者医療保険)に残りの将来的な予算を使うより「進歩的」だとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。

Text by NewSphere 編集部