北朝鮮、休戦協定を交渉カードに米韓へゆさぶりか?

 国連安全保障理事会が北朝鮮に対する制裁決議を全会一致で採択したことで、同国と近隣国との関係が揺れ動いており、国際社会からの注目を集めている。今回の決議は、2月の核実験を受け、同国への金融取引の制限強化や貨物輸送の取り締まりを義務付けたものだ。
 海外各紙は、北朝鮮の行動に頭を悩まし苛立ちを見せ始めた中国の変化や、韓国との衝突について報じている。

【中国との絆も変わりつつある】
 各紙とも、中国が北朝鮮を完全に見捨てることはないとの見解を引き続き前提としながらも、暴走する北朝鮮を抑制するためには、中国も国際社会に頼らざるを得なくなってきていると分析している。時代の流れをまとめているシカゴ・トリビューン紙では、金正恩第一書記が就任以来、未だに中国を訪問していない点を挙げ、戦友・理解者である中国に敬意を示していた先代までとは違うと報じている。
 また、習近平氏や新指導部の世代も、朝鮮戦争を通して以前の指導者たちが抱いていた北朝鮮との感情的な絆は持ち合わせていないとも指摘している。中国国民に関しても同様であり、彼らの反北朝鮮感情は高まるばかりのようだ。
 
 国内からは、米国と協力し朝鮮半島の安全を導くべきだとの声も少なくないとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。厳しすぎる制裁は北朝鮮政権の崩壊に繋がりかねないが、米国とのあからさまな関係強化は北朝鮮を挑発しかねないとし、中国は慎重な姿勢を崩さず、対応に苦慮しているようだ。いずれにせよ新体制の下では、より国際社会と実質的、協力的な関係が期待され、今後一層の変化が予想されている。

【米軍との軍事演習により南北の緊張が高まる】
 米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」が11日より開始したことを受け、北朝鮮は韓国との休戦協定を白紙化すると表明した。その一環として、両国間にひかれたホットラインを閉鎖したようだと、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(香港)は報じている。このホットラインは1971年に導入され、休日を除く毎日、朝夕に定時連絡を行なってきた。これまでに5度閉鎖されている。
 なお、今回の演習へは韓国軍1万人、米軍3500人が参加している。北朝鮮は米国に対して核攻撃を警告しているたが、米国まで到達可能なミサイル技術はないとの見込みから、実際に行動にでるとしても近隣海峡へ向けて何かを仕掛ける程度であろうと言われている。

Text by NewSphere 編集部