前例のない大規模サッカー八百長容疑 全容解明はいつ?

前例のない大規模サッカー八百長容疑 全容解明はいつ? ユーロポール(欧州刑事警察機構)は4日、19ヶ月に渡る調査の結果、近年のサッカー680試合に八百長の疑いがあることがわかったと発表した。そのうち380試合がヨーロッパのものとされ、なかにはワールドカップ予選、ヨーロッパチャンピオンシップ予選、チャンピオンリーグなどの「由緒正しい」試合も含まれているという。調査によれば、15カ国425人の関係者が関与するこれらの不正により、1000万ドル規模の利益が生まれ、300万ドル規模の賄賂が動いている模様だという。発表したレインライト氏は「これまでになかった規模」であり、それでもなお「氷山の一角」にすぎないと述べた。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、FIFAの倫理委員の委員長、マイケル・ガルシア氏も、ユーロポールとは別に調査を行っており、今回の発表を裏付ける発言をしているという。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、今回、「調査中」の個人・チーム名などの詳細は伏せられたものの、チャンピオンリーグの「疑惑の試合」が、イギリスでの過去3、4年間のものであることが明かされたと報じた。発表を受け、ただちにソーシャルメディアを駆使してチームの特定に着手したファンらが絞り込んだ6チームは、いずれも有名チームぞろいだったという。実際に八百長に手を染めたのがこれらのチームだったのか、あるいは海外から渡英した相手チームだったのかは定かではないが、サッカーの「メッカ」イギリスが、すでに八百長の汚点にまみれていることが問題だとした。

 サッカー界には近年既に八百長疑惑がたちこめていた。事実関係が明らかになりつつある事件を下記に挙げる。ドイツ・ボーハムで14名が計39年の禁固刑を受けた事件、不当なレッドカードの使用による試合操作により去年6月に逮捕され審理中のハンガリー人審判事件、韓国での41人の選手の追放、親善試合における八百長関与で南アのサッカー協会会長が辞任した事件、イタリアの大規模な組織的八百長疑惑、と枚挙にいとまがない。

 サッカー界の組織的不正について作品を書いたカナダ人ジャーナリストのヒル氏は、今回発表された規模について、すでに選手や審判などの個人を超えており、チーム職員などの組織的関与が疑われると述べている。
 この点についてユーロポールは、シンガポールを拠点とする国際的なアジア系犯罪シンジケートの関与を発表。首謀者とされるダン・タン氏にはすでに国際的な逮捕状が出されているとされるが、未だ拘置されとはいない。
 フィナンシャル・タイムズ紙に対し、前述のヒル氏は、ヨーロッパでの摘発が進むことを評価しつつ、「本気で不正を正すならばシンガポールに足を運ぶしかない」と述べているという。
 ユーロポールは、各国政府とサッカー界の重鎮に対し、このままでは、アジアの多くの国同様、「不正の存在」を疑うファンの離反と、競技の衰退を招くと警告したという。

Text by NewSphere 編集部