なぜアルジェリア政府は攻撃を強行したのか?

なぜアルジェリア政府は攻撃を強行したのか?17日、アルジェリア政府は、イスラム過激派が人質を盾にして立てこもる天然ガス関連施設を襲撃した。この襲撃によって、日本人を含む外国籍の人質約30人が死亡したとの報道がある一方で、アルジェリア政府がこれを「大げさな数字」として、死者は11人から12人だと米英政府に伝えたとの情報もある。人質の犠牲者を出すことになったアルジェリア政府による襲撃は、日本などによる人命優先の要請を無視する形で強行された。同施設では今なお対峙が続いている。

海外各紙は、アルジェリア政府の対応と各国の反応について詳しく報道している。

【関係諸国が反対する強攻策】
ニューヨーク・タイムズ紙は、日本政府が今回の事件について強い懸念を表明していると報じている。それによると、日本政府は、アルジェリア政府から襲撃作戦を事前に通告されなかったばかりか、人命優先の要請を無視されたと述べたという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回の襲撃作戦によってアルジェリア政府が関係各国首脳の怒りを買ったと報じ、米英日の政府が強攻策を控えるよう要請する中、事前通告を一切することなく今回の襲撃作戦に踏み切ったと報じている。

【予測できた強攻策】
昨日のNewSphereの記事(「なぜアルジェリア人質事件は起きたのか?」)でも言及したように、アルジェリア政府が強攻策を取ることは、ある程度予測がついていた。すなわち、アルジェリア政府には長年イスラム過激派と対峙してきた過去があり、テロリストの要求を受け入れる可能性は低いと見られていたからだ。事実、ニューヨーク・タイムズ紙は、イスラム過激派が人質とともに安全に移動することを頑強に要求したことにより、銃撃戦が開始された(アルジェリア情報相)と報じている。

【死守すべき天然資源施設】
フィナンシャル・タイムズ紙によると、アルジェリアは豊富な天然資源を抱えているため、イスラム過激派組織に対して極めて神経質であるという。軍事的な衝突によって、天然資源の施設が危険にさらされると見ているのだ。今回のイスラム過激派の施設占拠は、フランスがマリ軍事介入(イスラム過激派の南進阻止)のために領空を通過することをアルジェリア政府が認めたことに対する報復と見られているが、フィナンシャル・タイムズ紙によると、フランスによるマリ北部空爆が開始される前に、アルジェリア政府は、マリに置かれているイスラム組織とパイプを作ろうとしていたという。ニューヨーク・タイムズ紙は、イスラム過激派が人質に爆発物を身に付けさせ、アルジェリア軍が侵入した場合はガス田を爆発すると脅していたと報じている。

Text by NewSphere 編集部