日本、特例公債法案可決-経済危機の脱出に成功し、選挙実施にも拍車-

 13日、民・自・公3党は特例公債法案の修正案に合意した。政府は14日の衆院財務金融委員会に修正案を提出。15日中には衆院本会議を通過し、参院に送付された後、成立する見通しだ。もし法案が成立しなければ12月には予算が底をつく、という危機的状況の中で合意に至った。なお、今年度予算は、歳入の約40%にあたる38兆円分を国債発行でまかなっている。 
 海外紙は、法案成立による総選挙や政府への影響などに着目した。

 法案成立によって、12月前後と予測されていた総選挙を実施する可能性が高まったと各紙は分析している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、この問題に関して長期に渡り政治が停滞していたことは有権者に悪い印象を与えていたが、解散前に重要な問題に取り組んだことで野田首相の評価を上げたかもしれない、としている。
 フィナンシャル・タイムズ紙は、野田総理が挙げていた解散時期明言のための3条件についてふれた。1つ目の特例公債法案について合意に至ったため、残りの「選挙制度改革」や「社会保障制度改革」についても、自民・公明両党の支持を得るように動くだろうと報じた。具体的には、選挙は「一票の格差」是正を目指すこと、社会保障制度改革のための国民会議を設置することなどだ。なお自民党はこれらを分けて考えるべきだとしている。背景には、20年で2倍以上になり財政を圧迫する社会保障費の改革については前向きだが、選挙制度改革には異論も多く慎重な姿勢のようだ。

 またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、この法案の通過で日本の財政リスクは軽減したと評価した。「財政の崖」が末にもかかわらず合意に至っていないアメリカや、債務危機に悩まされるユーロ諸国と対比している。ただ、本来は財政法違反である赤字国債を毎年発行し、それが歳入の半分近くにのぼる現状についての批判も取り上げられている。

Text by NewSphere 編集部