第18回党大会を迎えた中国 新体制下で変革と成長を遂げることはできるのか

中国 8日、中国で、第18回共産党大会が開催される。習近平氏が国家主席に座することは確実視される新政権が、今や世界第2位の経済大国に成長した中国の舵をいかに取るのかに、全世界の注目が集まっている。
 論点は2つ。中国の現状、そして、新体制の本質を示す党トップの常務委員人事の行方だ。

 中国の現状分析にもっとも紙幅を割いたのはフィナンシャル・タイムズ。5年前の党大会で胡錦濤国家主席が69回も「民主」という言葉を用い、最重視したのと比べ、今回の党大会のキーワードは「政治改革」だと分析した。最近の成長率が過去10年間の2桁成長から大きく鈍化している中国に、内需の拡大なくして経済成長の持続がないことは明らかとされる。そして、各紙とも指摘したように、それには痛みを伴う改革が不可欠なのだという。「痛み」は、短期的には成長を押し下げる可能性もあり、現体制の恩恵を享受する地方官僚、国営企業、不動産開発業者などの利益を削ることだ。
 しかし、同紙が分析するように、富の独占や行政の腐敗に対する民衆の不満は募っている。党大会を前に、権力者の腐敗や蓄財が次々と明らかになったことや、ソーシャルメディアを通じてデモが決起されたことは、共産党の求心力の低下を示唆している、とみられる。これを抑えようとすれば現体制を根幹から揺るがしかねないことは、守旧派すらも現状に悲観的で、改革の必要性を口にすることからも明らかだという。
 
 では、新体制は改革を成し遂げることができるのか。ニューヨーク・タイムズは、新体制人事に暗躍した江沢民元国家主席の影響力という切り口で占った。昨年、死亡説が流れた江氏の動きが最近活発化し、胡氏をしのぐと紹介。同紙によれば、江氏は、新体制の政策にも口出しし、人事においても常務委員の大半を江派で占めるほどで、習近平氏をはじめ、兪正声、張徳江、張高麗、王岐山の各氏がそれにあたるとした。これに対し、胡錦濤体制があまりにも慎重で、改革の進捗を鈍らせたとし、市場経済型の改革路線の江氏の影響力を歓迎する声もある。しかし、裏返せば、10年前に国家主席の座を退いた江氏がいまだに強大な権力を行使しうることそれ自体が、中国の進歩を阻むくびきの重さにほかならないと分析した。
 一方、ウォール・ストリート・ジャーナルは同じく人事に注目しながら、先行きを占う最重要事について、常務委員の定数削減の成否、そして、汪洋氏と李源朝氏がそこに入るか否かを挙げた。常務委員の定数削減は、結束と機動力の強化という点では評価できるが、一歩間違えば、権力の独走を許しかねない。そこで注目されるのが、次期常務委員候補のうちでも、リベラル派と評される汪氏と李氏が入り、保守色に異色を添えうるかどうかだと分析した。
 ニューヨーク・タイムズは、中国の政治改革を成し遂げれば、その人物が大きな尊敬を集めることは必至だとし、それも一つの動機になりうるとも提案。ただし、膨大な既得権益を享受している次期政権にその実力があるかについては、各紙とも悲観含みの報道となった。

Text by NewSphere 編集部