安倍晋三元首相が自民党総裁へ―海外紙が分析する国内情勢―

 26日の自民党総裁選で、元首相の安倍晋三氏が選出された。安倍氏は当初、石破茂氏に次いで2位だったが、決選投票に勝利した。選出後、「難局を打開して豊かな日本をつくる」と強調した。日中関係を良好に保っていきたいと述べる一方、領土問題に対しては譲らない強い姿勢をとる意思を表明した。近いうちに控える総選挙における自民党復権への強い意志も述べた。
 安倍氏の総裁就任が日本の政治・経済・外交に与える影響は?海外各紙の報道から読み解く。

Financial Timesの報道姿勢―国家主義者の側面に注目―
 FTは、安倍氏がもつ国家主義者の側面に注目した。例えば、従軍慰安婦問題に対する政府の謝罪再考を要求したこと、尖閣問題についても強硬な姿勢を示していることなどだ。自身に近いイデオロギーを持つ人物と外交に取り組むと、危険が増すという指摘がある。ただ、安倍氏は前回の首相就任後、初めての外遊先に中国を選ぶなど、日中関係を重視しているとの指摘も紹介した。

International Herald Tribuneの報道姿勢―先の見えない日本の政権争い―
 次回の総選挙で、民主党と自民党のどちらが政権をとるのかという問題について分析している。現在民主党は、脱官僚・政治主導という方針を貫けず、東日本大震災からの復興の方向性も見えないため、支持率は低下していると指摘した。だが自民党も、多くの票を獲得できる決定的要因はない。安倍氏は2006年に総理大臣を突然辞任して非難を受けているためだとみている。政治評論家は、有権者にとってはどちらの党にも根本的に大きな違いが見られないので、両党ともに大きな支持を得られない可能性もあると指摘した。両党内の混乱もしばらく続き、状況は停滞し続けるとの見方もある。

The Wall Street Journalの報道姿勢―経済政策にも積極的―
 安倍氏は日本の不況に関して明確な方針を示していることを取り上げた。安倍氏は日本銀行に対して、デフレ対策に積極的に取り組むことを要求している。インフレ目標を現在の1%から2~3%に引き上げることや、中央銀行がインフレを達成しやすくなるような法律の改正など具体的な考えを明らかにした。安倍政権下では日銀への圧力はさらに増すだろうと専門家は分析している。

<参考リンク>
安倍晋三・元首相 特別インタビュー
「政治家は国家観なき政策論争から脱却せよ
今こそ考えるべき“新しい国づくり”への提言」

(ダイヤモンド・オンライン)

安倍総理誕生で脱原発運動はどうなる? 維新の会、民主党は?
(kechack/BLOGOS)

Text by NewSphere 編集部