28年間閉じ込められていたチンパンジー 初めて見た大空にポカン

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動物園で暮らす生き物たちをはじめ、ブリーダーによる犬や猫の繁殖などについて、様々な議論が交わされています。

悪徳なブリーダーにおいては、動物たちをまるでお金目当ての商品としか見ていないという話もあるもの。

このたびの話題は、アメリカにある「霊長類実験医学・外科研究所(LEMSIP)」で2歳まで飼育されていた、チンパンジーのバニラについてです。

バニラはずっとギリギリのサイズの檻に入れられ、外に出ることはありませんでしたが、1997年にLEMSIPが閉鎖されると、鍵付きの小屋で管理されるカリフォルニア州の施設へ。

そこも閉鎖されたため、2022年になってフロリダ州にある非営利団体の『セーブ・ザ・チンパンジー』という施設に保護されました。

檻ではなく広々とした飼育施設に放たれ、生まれて初めて大空を見たバニラ。

その瞬間の、あまりにも素直で愛らしい表情がInstagramで公開され、動画は瞬く間に拡散しました。

仲間にハグで歓迎され、広い大地に戸惑うバニラでしたが、次第に慣れてくると、遊具で遊ぶ様子が見られました。

同施設の霊長類学者であるアンドリュー・ハローラン博士は、「バニラは、それまで草に触ったこともなければ、栄養も十分に与えられない場所で育ってきました」と『NEW YORK POST』に語っています。

そこでは、研究所や娯楽産業、ペット業界、動物園から捨てられた226頭のチンパンジーが暮らしているそうです。

アンドリュー博士は、続けて「バニラは仲間とあちこちを探検するなど、上手く馴染んでいます。それ以外のときは、3階建ての遊具の一番上に腰かけ、新しい世界の景色を楽しんでいます」と明かしました。

この話題には、SNSでも「泣ける」「悪質な業者がいなくなれば良いのに」「バニラをはじめ、チンパンジーたちが幸せでありますように」など、様々な声が寄せられています。

Text by 春野 なつ