暴走する観光客、評判が悪いのはどの国? 香港紙が選ぶ6ヶ国

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◆欧米人も笑えない。こんな観光客は嫌だ!
 次に上げられたのがイギリス人だ。彼らは普段のマナーは良いが、酒を飲むと別人になるとされている。酔ってホテルのバルコニーからジャンプしたり、裸で街を駆け回ったりなど目に余る行為も多く、前述のクロアチアの観光客のほとんどが、実はイギリス人の若者ということだ。

 ドイツ人は、そのルールへのこだわりから嫌われているという。食事や部屋が旅行のパンフレットに書いてあったものと少しでも異なると文句をつけ、行程表に記載されたおしぼりや軽食などの些細なものでも、出てこなければ観光そっちのけで約束の履行を主張する。ドイツ人の苦情は、もはやアートの領域に達してしまったとされている。

 ロシア人もやっかいだ。笑わず不作法、当の本人たちが「だれからも嫌われているし、気にしない」というアプローチだとSCMPはいう。ロシアの情報サイト、『ロシア・ビヨンド』は、公の場で汚い言葉を使い、ビュッフェ料理を食べまくり、次の日誰かに取られないようホテルのビーチベッドを自室に持ち去るなどを、ロシア人観光客が嫌われる理由として上げている。

 金に物を言わせて自分のやり方を通そうとするアメリカ人も疎まれているが、現状トランプ大統領以外の国民からはその傾向は薄れつつあると解説されている。金はないのに態度だけは大きいという理由でイスラエル人のバックパッカーも嫌われており、旅行ガイド『ロンリープラネット』の投稿では、チェックイン時にそのパスポートを見たとたん、ホテル従業員のフレンドリーな笑顔が、一瞬にして消えてしまうとされている(SCMP)。

◆国籍ではない。マナーは自分の心がけ次第
 もっとも、行いの悪いのは常に外国人とは限らない。SCMPは、最悪な観光客はしばしば自国民であると述べ、タイの地方のホテルでは、自己顕示欲丸出しで従業員を怒鳴りつけるのはバンコクから来た旅行者であり、のどかなギリシャの島のレストランで、スタッフに威張り散らし勘定に文句をつけるのは、アテネからの日帰り旅行者だと述べる。ロシア・ビヨンドによれば、2013年のある旅行会社の調査では、42%のロシア人が、最もふるまいが悪いのは自国の観光客だと回答したそうだ。

 行いの悪い人々はどの国にもいるというロシアの観光業コンサルタント、Maxim Korneev氏は、その人のソーシャル・スキルと礼儀正しさに問題があるのであり、国籍の問題ではないと話す(同上)。マナーの悪い個人は誰からも歓迎されないもの。旅行の際は、国内・海外を問わず、常識ある行動を心掛けたい。

Text by 山川 真智子