暴走する観光客、評判が悪いのはどの国? 香港紙が選ぶ6ヶ国

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 スマホやSNSで人々が繋がったこともあり、世界中の観光客の恥ずかしい行いや驚きの態度が、次々とニュースになっている。なかには地元民を辟易させる行為もあり、ついに罰金を科す国まで出てきているほどだ。観光客の態度に国民性も関連づけられており、評判の悪い国々を香港紙が紹介している。

◆悪化する観光客のマナー 地元民は我慢の限界?
 フィレンツェのニュース誌『Florentine』によれば、観光客のマナーはこのところ悪化の一途をたどっており、地元は様々な対抗策を取っているという。フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂の階段では、腰かけて昼食を取る観光客を追い払うため、ランチタイムに放水が行われる。遊泳を試みる者が後を絶たないベニスの運河、カナル・グランデでは、違反者に重い罰金を科している。コイン投げで有名なローマのトレビの泉では、押し寄せる観光客を制限するため通路が設けられ、警官が速やかな移動を命じているという。

 クロアチアのリゾート地、フヴァル島も、増え続ける若い観光客の蛮行に頭を悩ませている。泥酔して街中で嘔吐、街角のいたる所で放尿、Tシャツさえも身に付けず、海パン一丁で歩き回る若者の姿に耐えかね、市長は最高700ユーロ(約9万3000円)の罰金を科すと発表した(ドイチェ・ヴェレ)。
 
◆すでに世界的に有名? 政府も心配する中国人観光客マナー
 香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)は、以前は旅のハプニングは外に漏れることがなかったが、近年は簡単にソーシャルメディア上で拡散されると指摘。見聞きする人の関心を引くのは国籍のようで、同紙は「訪れる土地の人々を恐怖に陥れ、恥ずかしさで同胞をドン引きさせる観光客の国籍は?」として、独断で6ヶ国を選出している。

 最初に上げられたのが中国で、チェックインカウンターでのメルトダウン、客室乗務員への暴行、観光地での破壊行為、果ては公共の場での放尿などはすでにおなじみだとしている。もっとも2016年にはすでに1億2000万人以上の中国人が海外旅行をしており、いまや彼らは世界の観光業の救世主だとも述べている。

 中国政府も自国民のマナーの悪さを問題視しているようだ。ウェブ誌『クオーツ』によれば、中国人観光客が多く訪れるシンガポールの中国大使館では、今年の国慶節の大型連休を前に旅のガイドラインを示した27ページの冊子を作成したという。「飛行機では他の客とケンカする前に客室乗務員を呼ぶこと」、「チップはケチらず現金で」、「写真を撮るときは譲り合う」、「列に割り込むときは許可を得る」、「機内からライフベストと毛布は持ち出さない」、「ホテルのタオルやシーツで靴を磨かない」、「バスは無賃乗車しない」など、細かな注意が記されているということだ。

Text by 山川 真智子