航空界最大のミステリー、MH370失踪 遺族が立てた仮説

5周年追悼式の様子(2019年3月3日)|Djohan Shahrin / Shutterstock.com

 またド・シャンジー氏は、軍用機がMH370を別の場所に誘導する際には、早期警戒管制機(AWACS)が用いられたと考える。つまり、飛行するMH370をAWACSの2機がはさみ、レーダーに映らぬようスクランブルをかけたのだ。その証左の一つとして、同氏は「MH370の信号が、ホーチミンとクアラルンプールのレーダー画面から徐々に消えていった」事実を挙げる。なぜなら、もし、言われているように(MH370が)自らトランスポンダ(自動信号送受信機)を切ったのなら、MH370はレーダー画面から一気に消えたはずだからだ(同)。

 ワトルロー氏とド・シャンジー氏、どちらの仮説も、MH370はUターンなどしておらず、アメリカ軍の関与があったとする内容で、同じ方向を指している。あくまで仮説の範疇を出るものではないが、いくつかの不可解な点を説明できることは注目に値するであろう。

 ワトルロー氏が取材に応じ続けるのは、事件を風化させないことで、事実を知る誰かが、いつか話してくれるのではないかと期待するからだという。筆者は、事件の数ヶ月前まで、ワトルロー家とは隣人づきあいをしていた。彼らが5人家族だったころの笑顔は忘れられないし、忘れたくない。乗っていた239人とその遺族らのためにも、いつか事実が明らかになることを心から望む。

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Text by 冠ゆき