航空界最大のミステリー、MH370失踪 遺族が立てた仮説

5周年追悼式の様子(2019年3月3日)|Djohan Shahrin / Shutterstock.com

◆「真実を知りたい」遺族の切望
 機体に乗っていた239人のうちフランス人が4人いた。そのうち3人は家族で、母と子2人だった。つまり夫であるギラン・ワトルロー氏は、妻子3人を一度に失ったのだ。

 ワトルロー氏の苦しみは長く続き、墜落の痕跡も遺品もない状況で、3人はもういないのだと受け入れるまでに丸2年かかったという。前に進めたのは、周りの支えもあるが、ひとり残った長男の存在が大きい。「人生は美しくありえること、ここから始められることを、息子になにがなんでも見せなければならなかった。(中略)そうして少しずつ、手放した生活を取り戻してきた」(ユーロニュース)。

 だが、真実にたどり着きたいという強い思いは、事故当時から変わっていない。当初よりワトルロー氏は、自ら政府要人や各種専門家、ジャーナリストらと連絡を取り、データを収集し、緻密な分析を積み上げてきた。2018年には、その経験を一冊の本にまとめている。

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Text by 冠ゆき