航空界最大のミステリー、MH370失踪 遺族が立てた仮説

5周年追悼式の様子(2019年3月3日)|Djohan Shahrin / Shutterstock.com

◆ワトルロー氏の仮説
 ワトルロー氏の立てた仮説はこうだ。「飛行機に、北京に着いてはならない誰かあるいは何かが乗っていたため、撃ち落とした」もしくは「(MH370が飛んでいたそのとき、その航路の)ゾーンで、アジアやアメリカなど複数の国の軍事行為が行われていた。(中略)そうして何らかの失策、たとえば軍機が民間機に衝突するなどが起こった」(ユーロニュース)。実際このとき、フライトレーダー24のデータには、MH370の周りに多くの機体が見られたという。いずれの場合も「アメリカがかかわっていることは確かだ」と同氏は考えている。

 それを裏付けるかのように、アメリカは当初より捜査に非協力的だった。たとえば「飛行機が消えた翌日にはFBIがすでにクアラルンプールで捜索を始めていた」にもかかわらず、「FBIは、公式捜索機関になんのレポートも提出していない」。たとえば、MH370の機長の自宅に行き、そこにあったとされるフライトシミュレーターを押収したのはFBIだが、フランスはいまだその閲覧を許されず、3年前から交渉中だという。

 ワトルロー氏は、捜索が始まってしばらくしてから説かれた、飛行機がUターンしたという説にも疑義を唱える。Uターンについては、マレーシアのレーダーによる証拠も、イギリスのインマルサットの通信衛星による証拠も開示されていないからだ。もし本当にUターンしたのなら、「ベトナム、タイ、ミャンマー、インドネシア、シンガポール、インド、オーストラリアなどの国にデータが残っているはず」だ。これらの国がみな示し合わせてデータを隠しているとは考えにくく、Uターンしたという説そのものが怪しいと考える。

次のページ マレーシア当局の一貫しない説や矛盾する言葉に疑問を覚えたジャーナリストによる仮説




Text by 冠ゆき