ロシアの半世紀ぶりの月面計画失敗、何を物語るのか?

月探査機ルナ25号を乗せ離陸するソユーズロケット(8月11日)|Roscosmos State Space Corporation via AP

 ロシアの国営宇宙機関ロスコスモスは20日、月面宇宙船ルナ25号は月面に衝突したと発表した。その失敗の原因や背景はどのようなものか。何を物語るのか。

◆ロシア、1976年ぶりの月面計画始動
 ロスコスモスは 11日、ルナ25号を乗せたソユーズロケットをボストーチヌイ宇宙基地から打ち上げた。ロシアにとって、ルナ25号は半世紀ぶりの月面計画となる。ルナ25号は、1990年代後半にスタートしたが、2000年代の宇宙航空研究開発機構(JAXA)との月面探査計画の国際協力の中止やインド宇宙研究機関(ISRO)との月面探査協力の中止などにより、スケジュールは大幅に遅れていた。前号機の月面宇宙船ルナ24号は1976年に打ち上げられた。無事、月に軟着陸し、サンプルリターンにも成功している。

 ルナ25号には、微小隕石の衝突や月の砂であるレゴリスについての熱特性や放射線を分析することができる機器などが多数装備されている。もし計画が成功すれば、史上初となる月の南極付近への軟着陸に成功した宇宙船になる。このようにロシアの宇宙大国としての復活の期待が高まっていた。

◆ルナ25号月面に衝突し失敗
 ルナ25号は16日には順調に月の軌道に入り、軟着陸を試みる準備をしていた。19日には軌道を下げる操縦を行う予定だったが、異常が発生し正常な制御ができなかった。そして20日には完全に宇宙船との通信が途絶えた。ルナ25号との通信を回復する処置を施したがうまくいかず、結果として、ロスコスモスは20日、ルナ25号は月面へ衝突し失敗に終わったとの声明を発表している。(スペースニュース

Text by 齊田興哉