ChatGPTで旅行プランを立てる 現時点でできること、できないこと

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 旅行プランをうまく立てられず途方に暮れることがある。ガイドブックは本質的にすべての読者に等しく同じ目的地を紹介するものであるし、ウェブサイトでの検索からは、散乱する情報を前に何も得られないこともある。

 けれども、テクノロジーに精通している一部の旅行者は、ChatGPT(チャットGPT)やBard(バード)といったAI型チャットボットを活用し、旅行の楽しみを見つけたり計画を立てたりしている。まるでオンデマンドの旅行代理店を無料で利用しているかのようだ。

 ニューヨーク市近郊在住で旅行好きのアルパ・パテル氏は「とてもわかりやすいリストが提示され、ChatGPTからのアイデアには好感をもちました」と話す。

 夏に向けてスコットランドの首都エジンバラへの家族旅行を計画していた同氏は、グーグル検索によって示された旅行サイトがどれも似たり寄ったりであることに辟易していた。そこで、ChatGPTに聞いてみるのはどうだろう、というアイデアが浮かんだ。

 パテル氏は「おすすめの宿泊先を聞いたところ、最高級ホテルに加えて、近隣の宿泊施設一覧が提示されました。結局、その一覧のなかから滞在先を決めました」と述べる。

◆嗜好を決める
 このような簡潔なやりとりを楽しんでいたパテル氏は、ChatGPTのようなAI型チャットボットが旅行プランを決める際に役立つ別の理由をすぐに見出した。それは、カスタマイズが可能であることだ。

 グーグルからはハイランド地方への観光をひっきりなしに提案されていたものの、同氏の下の息子は車に酔いやすく、数時間を要する車での移動は現実的ではないと感じていた。ChatGPTから妥当な代替案を引き出すことができるのではと考えた。

 パテル氏によると「具体的に『車酔いしやすい子供がいるとして、日帰り可能な観光地はどこがおすすめですか』と質問したところ、電車で行くことのできる観光地がいくつか示された」という。

 ブログ『トラベル・トゥ・ブランク(Travel to Blank)』の共同創設者、スティーブン・クライメンダール氏は、妻と義理の母親と一緒に、春に日本へ旅行する計画を立てていた。ChatGPTから示された一人ひとりに最適なおすすめを参考に、あらゆる旅行スタイルを考えた。

 同氏は「私と妻は1日中観光しているのが大好きなのですが、義理の母はよりゆったりとしたペースの旅行を好みます。できる限り詳細をChatGPTに伝え、処理を実行させました」と話す。

 従来の旅行プランの検索方法とは異なり、このやり方には旅行者にもある程度の独創性が求められる。たとえば、ニューヨークにある1950年代の建築物や、東京の銀座界隈にあるおいしいとんこつラーメン店など、利用者のニッチな分野での関心を明らかにする必要がある。単に一覧に示されたプランに目を通すのではなく、AI型チャットボットを利用して旅行プランを立てるには、利用者が優先したい嗜好を入力する必要がある。

 クライメンダール氏は「情報を多く与えるほど、より的確な回答が得られます」と述べる。

◆押し戻して検証する
 現実の旅行専門家とは異なり、AIモデルの心は傷つかない。つまり、気に入らないアイデアは却下しても構わない。これは奨励されていることでもある。

 ウェブサイトでは、新たに検索を行うたびに検索結果は原則としてリセットされる。一方で、チャットボットを構築している言語モデルは長時間の会話を続けることができ、質問やフィードバックを記憶してそれに答えることができる。

 クライメンダール氏はChatGPTによっておすすめされた数日間にわたる旅行プランを例に挙げ、「『その日はとにかくゆっくり過ごす』など、時には実に大まかなアドバイスもあります。もっと掘り下げて、より具体的な要望を出してみることです」と助言する。

 これらのモデルは、アイデアを生み出したり簡単な質問に答えたりすることを得意とするものの、提示された情報が必ずしも真実であると捉える必要はない。たとえばChatGPTの場合、2021年までに蓄積された情報に基づいているため、グーグルなどの検索エンジンで得られるような最新の詳細情報を期待することはできない。このチャットボットは、パンデミック中に閉店したレストランをおすすめしたり、旅行の日程によっては運行されていない路線を提示したりする可能性がある。

 一例を挙げると、クライメンダール氏は桜が終わる時期に日本を訪れたが、実際の開花時期や場所について、ChatGPTには情報がなかった。

◆着想を得る
 ChatGPTのようなAI型チャットボットは、テクノロジーの天才であるかのように見えるかもしれないが、現時点ではできることにまだ多くの限界がある。ドバイ行きの最新の航空運賃を聞いたり、おすすめのレストランを予約したりすることはできない。

 その一方で、予約業務にAI型チャットボットを導入する取り組みを始めている旅行会社もある。エクスペディアは自社のアプリにChatGPTを統合し、おすすめを保存できる機能を導入したばかりだ。

 エクスペディア・グループのチーフ・アーキテクト兼上級副社長、ラジェッシュ・ナイドゥ氏は「ChatGPTとの会話中におすすめされたホテルはすべて、新たなトリップ(旅行)としてアプリに自動保存されます。利用者が旅行プランを検討し予約するときには、フライトやアクティビティ、車の手配などと同様に、保存されたホテル情報に再度アクセスすることができます」とメールで回答している。

 このような統合はまだ初期段階であり、現時点では旅行者は実際に予約作業を行う必要がある。しかし、AI型チャットボットを使う楽しみは、チャットボットから生まれるアイデアと、協調的な対話が育まれる点にある。

 パテル氏は「今は着想段階ですが、もっと深く調べてみようという気持ちにさせてくれます」と話す。

By SAM KEMMIS of NerdWallet
Translated by Conyac

Text by AP