人間のように創作、対話できる「ChatGPT」公開 進化するAI技術

Peter Morgan / AP Photo

 人工知能の研究を進める非営利団体であるオープンAIが手がけた、クリエイティブな文章作成や高度な対話を可能にする新たなアプリケーション「ChatGPT(チャットGPT)」が注目を集めている。進化するAI技術がもたらす影響や意義とは。

◆オープンAIの価値観
 オープンAIは2015年に、連続起業家で元Yコンビネーター代表サム・オルトマン(Sam Altman)とイーロン・マスクらが10億ドルを出して、サンフランシスコを拠点に創設した団体。AI技術が一企業や、少数の人々によって独占されるのを防ぎ、AI技術を広く拡散させることを目的に、当初、非営利の組織として立ち上がった。

 2019年には、営利組織、オープンAI LP(Limited Partnership、有限責任組合員)が設立。非営利母体は存続しつつ、より大きな額の資金を調達するために、営利目的のオープンAI LPが立ち上がった。オープンAI LPでは、投資家や従業員に対するリターンには制限が設けられており、余剰利益は非営利母体に還元されるという仕組みだ。ちなみに、イーロン・マスクは2018年2月に非営利団体の理事会を離れ、現在もオープンAIのプロジェクトには直接関わっていない。

 オープンAIの憲章に掲げられた使命は、AIの技術が確実に人類すべてに便益をもたらすようにすることだ。加えて、長期的な安全も重要な柱の一つとして、憲章に記されている。AIの安全性を担保するための研究や、競争よりも安全性を優先させることは、オープンAIが掲げる重要な価値観の一つだ。

Text by MAKI NAKATA