人間のように創作、対話できる「ChatGPT」公開 進化するAI技術

Peter Morgan / AP Photo

◆AI技術のクリエイティブな可能性
 オープンAIは、これまでにいくつかのプロダクトを公開してきたが、2022年11月に公開されて以降、広く話題を呼んでいるのが新たな言語モデル「ChatGPT」だ。ChatGPTは誰でも登録すれば無料で使うことができるサービスで、ユーザーは質問を投げかけるだけでなく、AIの回答に続けて、人間同士の対話のような自然なやり取りをすることができる。また、ChatGPTは補足の質問を返したり、ミスを認めたり、無理な指示を拒否したりすることが可能で、より人間的な言語モデルだと言える。

 サービス公開後、多くのユーザーが体験し、その質を認めている。たとえば、Eメールを作成したり、コンピューターのコードのエラーを直したり、学術的なエッセイを書いたり、脚本を書いたりすることができる。筆者もChatGPTを使って英語、日本語、フランス語での簡単なやり取りを試してみたが、グーグル検索やウィキペディアからは得られない端的な回答と適度な情報量に大きな可能性を感じた。一方で、必ずしも正確ではない回答を、自信を持って、整った文章で、正しそうに回答するというスタイルにはリスクもある。フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ジョン・ギャッパー(John Gapper)は、デマやもっともらしい法的文書が蔓延するリスクを指摘しつつ、ChatGPTの圧倒的な創作能力を評価している。

 オープンAIは昨年、テキストを入力するとAIがその文章に基づいた画像を生成するプロダクト「DALL・E 2」も公開している。AIが生成した画像はアートではないとも考えられる一方、そのインプットには人間の創造性が求められる。それはChatGPTに関しても同様だ。

 AIの技術が進化する時代において、人間は今後さらに新たな技術を取り入れていくだろう。そのなかで、創造性の定義も進化していくことが予測される。

Text by MAKI NAKATA