「ボアードエイプ」仕掛人暴露に見る仮名問題、Web3における社会的責任

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 著名人の参加もあり、にわかに注目されているNFTコレクションのボアードエイプ(Bored Ape Yacht Club: BAYC / Bored Ape)。その仕掛人は仮名を使って活動してきたが、先日ジャーナリストによってその正体が明かされ話題となっている。その詳細とは。

◆「ボアードエイプ」の仕掛人暴露の意図
 ボアードエイプ(以下、BAYC)は、猿をモチーフにしたアバターのイラスト作品のNFTコレクションを販売するプロジェクトで、仮名で活動する4人のファウンダーが創設した。BAYCを展開するのはユガ・ラブズ(Yuga Labs)という会社で、急成長をしている。米国を代表するVC、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz、a16z)による、50億ドルの評価額での投資の噂もあると報じられている

 バズフィードの解説によると、BAYCのビジネスモデルは、NFTの売却収益に加え、将来の取引額に対して2.5%のロイヤリティ収益を得るというものだ。BAYCは、アディダスなどのビッグブランドとのライセンス契約も結んでいる。そのビジネスモデルと事業価値に注目が集まると同時に、仕掛人に対する関心も拡大。BAYCは、人種差別的とも捉えられるような表現のイラストがあることや、実際のアートを製作しているアジア系アメリカ人アーティスト、セネカ(Seneca)が十分に評価や報酬を得ていないなどといった点など、批判の対象ともなっている。バズフィードが今回BAYCの仕掛人を暴露した背景には、多額の収益を得ている企業の責任者を明らかにし、責任を負わせるという意図がある。

 BAYCの仕掛人はフロリダ出身の30代男性、グレッグ・ソラノ(Greg Solano)とワイリー・アロナウ(Wylie Aronow)。彼らは過去に仮名を使ってインタビューにも応じている。仮想通貨に対する関心が高く、NFTコレクションを作るという共通のアイデアを持っていた2人は、フリーランスのイラストレーターを雇い、さらにもう2人のエンジニアとパートナーを結び、BAYCを設立した。

Text by MAKI NAKATA