手に埋め込んだチップで決済、スウェーデンで広がる チケットや鍵にも

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 日本ではスマホをかざして支払いができるスマホ決済が広がっているが、スウェーデンでは一歩先行くサービスが始まっており、昨夏ごろから、欧米の一般紙や経済紙が次々と報じている。個人情報を保管した米粒大のマイクロチップを手の皮膚のすぐ下(親指と人差し指の骨が交わるあたりの柔らかい箇所)に埋め込んで、カードレス、チケットレス、キーレスで生活する人が多数いるのだ。

◆4000人以上がマイクロチップ埋め込み
 この極小チップには個人情報やクレジットカード情報が記録してある。自販機で飲み物を買うときに手をかざして買ったり、電車の車内検札で係員の持つ機器に手をかざしてチケットを確認してもらったり、勤務している会社内に入るときに入り口の機器に手をかざしてID代わりにしたりできる。

 正確なチップ保持者数はわからないが、同国に2015年に初めて登場して以来、現在3000~4000人以上と伝えられている。英ビジネス誌エコノミストによれば、世界には1万人のサイボーグ(チップ保持者のこと)がいて、スウェーデンで最も多く埋め込みが行われている。

 数千とはかなりの数だが、この国の人口約1千万人のなかではまだ少数派。スウェーデンに住む筆者の知人たちは「個人的にはチップを埋め込んでいる人は知りません。でも、このことはとてもよく耳にするし、人気が出ている様子です」と話す。

 スウェーデン国鉄SJがチップによる「かざして決済」を車内検札に導入したのは2017年6月のこと。手かざしで買い物ができる店はまだ限られているが、チップの用意が需要に追いつかないとも一部で伝えられており、チップを埋め込む人がさらに増えれば、手かざし決済ができる店が増えていく可能性は十分にある。

Text by 岩澤 里美