アマゾン、子供向け「エコー」を米で発売 丁寧な言葉遣いを褒める機能も

Elaine Thompson / AP Photo

 近年注目を集めているスマートスピーカー市場に、また新たな動きがあった。同市場をけん引するアマゾンが、子供向けスマートスピーカーの発売を発表したのだ。同スピーカーには子供の両親を安心させる機能が多数実装されているものも、子供の個人情報の取り扱いについて懸念する声も上がっている。

◆子供に配慮した設計
 アマゾンは25日、子供向けスマートスピーカー「Echo Dot Kids Edition」に関するプレスリリースを発表した。同スピーカーは、一見すると同社がすでに販売しているスマートスピーカー「Echo Dot」にカラーリング(ブルー・グリーン・パンチレッドから選べる)をほどこしただけのように見える。同スピーカーが子供向けと言われる理由は、「アマゾン・フリータイム・オン・アレクサ」と呼ばれる機能にある。同機能は、スマートスピーカーが子供のために動作するように設計された複数の機能から構成されている。

 同機能には、スマートスピーカーの利用時間や実行するアプリを両親が制限できる機能はもちろんのこと、子供が「丁寧な」言葉で同スピーカーに話しかけるようにうながす「マジックワード」、さらには子供の質問に対して教育的な回答を返す「教育的Q&A」が含まれている。

 なお、同スピーカーの発売は5月9日からだが、予約はすでにアメリカ版アマゾンのウェブサイトから可能となっており、価格は79.99ドル(約8,800円)だ。

◆AIが子供を教育
 USAトゥデイ紙は、同スピーカーの機能「教育的Q&A」について例をあげながら詳しく解説している。例えば、同スピーカーに大人が太陽系の惑星の数をたずねると、端的に「8つの惑星があります」と答える。

 同様の質問を子供がした場合、同スピーカーは8つの惑星の名前を列挙したうえで「冥王星は準惑星であり、それはじつに興味深いです」と答える。子供がさらになぜ冥王星が興味深いのかと尋ねると、同スピーカーは「冥王星が興味深いのは、それがかつては惑星だったのですが、今はそうではないからです。科学者たちは後に冥王星を準惑星と考えるようになったのです」と答えるのだ。

 さらに、子供が「いじめられている」と同スピーカーに話した場合、同スピーカーは「その話を聞いて非常に残念に思います。そのことをあなたの両親、先生、またはほかの信頼できる大人に話してください。いじめは絶対にダメです」と返答する。

◆個人情報の青田買いが目的?
 CNBCに同スピーカーに関する記事を執筆したトッド・ハセルトン氏は、アマゾンに対し、同社の子供向けスマートスピーカーを使えば子供の個人情報を作成することができ、さらには子供が大きくなって同社の立派な顧客となるはるか前に何が好きで何が好きではないかといった商業的に価値のあるデータを収集できるのではないか、と質問した。

 この質問に対して、同社は子供が10年後も同じものを好きであるとは考えていないので、同スピーカーを使って子供の個人情報を収集する計画はない、と答えた。しかし、子供が同スピーカーに話した質問や要望に関しては、それらに応えるために同社にその内容が送信される、とも言った。以上の回答に対し、同氏は「注目に値する戦略」とコメントしている。

Text by 吉本 幸記