ロボットの活躍で変わりつつある建築現場 進む技術開発

Marcio Jose Sanchez / AP Photo

 父の経営する建設会社で働くティーンエージャーとして、ノア・レディーキャンベル氏は、常に建物の建設についてまわる仕事、つまり、土を掘り起こしたり、盛り土を均したりするような退屈で汚れを伴う作業をロボットが肩代わりしてくれれば良いのに、と夢見ていた。

 そして、元グーグル社のエンジニアである同氏は、ブルドーザー、掘削機、その他の建設用車両の自動操縦を可能にする技術開発ベンチャー企業、ビルト・ロボティクスでこの夢を実現しようとしている。

 小さなブルドーザーが無人の自動操縦で忙しく土砂をあちこちに移動している建設現場で、レディーキャンベル氏は、「ビルト・ロボティクスを起業した狙いは、自動化技術によって建設業をより安全にし、工期を短縮し、建設コストを削減することだ」と語った。

                                                                                                                 

 建設業界は、技術革新が急速に進む他の分野の後塵を拝しているが、サンフランシスコを拠点とするこのベンチャー企業は、自動化によって建設業に変革をもたらそうという動きの一翼を担っている。

 ベンチャーキャピタルの潤沢な出資に支えられ、多くのテクノロジー・スタートアップは、ロボット、ドローン、ソフトウエアおよび他の技術開発を積極的に行い、建設業界が工期短縮と安全性や生産性の向上を実現できるよう支援している。

 建築業は、新たな建設プロジェクトの予定が増加している一方で、熟練した技術を持つ労働者を十分に確保するのが難しい、という課題を抱えているが、自動運転型の建設機器がここに一石を投じようとしている。

 サンフランシスコを拠点とするマッキンゼー・グローバル・インスティチュートのパートナー、マイケル・チュイ氏は、「経済成長のためには、手に入れられる全てのロボットと熟練労働者が必要だ」と語った。同氏は、「かつては手作業だったものの一部を機械が行うようになり、労働者は他の形態の作業へ従事する必要がある。そのため再研修や再訓練を行う必要性が増えている」と言う。

 コロラド州エングルウッドにあるベリッチ・メイソンリーの従業員は最近、数週間をかけてSAMと呼ばれるレンガ積み作業ロボットの操作方法を習得した。SAMとは、セミ・オートメーテッド・メイソンの略語で、ニューヨークに本拠を置くコンストラクション・ロボティクス社が製作し、価格が40万ドルもする作業ロボットだ。SAMは、8時間の勤務時間中におよそ3,000個のレンガを敷き詰められる。これは、レンガ工職人が同じ時間に手積み作業で敷き詰められる個数より数倍多い。

main

David Zalubowski / AP Photo

 SAMのメカニカルアームは、レンガを持ち上げ、モルタルで表面を覆い、慎重に敷き詰めながら、新設する小学校の外壁を形成していった。作業員たちは機械にレンガを搭載し、SAMが残した余分なモルタルを拭い取る作業を足場で実施した。

 ベリッチ・メイソンリーの社長であるトッド・ベリッチ氏は、技術を駆使してより多くの仕事をこなし、既存顧客の満足度を維持したい、と語る。「今は、我々が手一杯なので、顧客の要望を断らなければならないことも多い」とベリッチ氏は言う。

 レンガ工職人のマイケル・ウォルシュ氏は、作業時の肉体的な負担をロボットが軽減してくれると言うものの、ロボットに職を奪われるとは考えていない。「ロボットは人間の代わりにはならないだろう」とウォルシュ氏は言った。

 国際レンガ工芸技巧職人労働組合同盟(The International Union of Bricklayers and Allied Craftworkers)の政策担当部長であるブライアン・ケネディ氏によると、ロボットが組合員の雇用をすぐに脅かすような懸念はそれほどない。

「SAMには出来ないことがまだたくさんあるので、熟練したレンガ工職人の卓越した技術が依然として不可欠だ」とケネディ氏は語り、「我々は、石工業界に役立つものなら何でも必要だ。業界の技術革新を妨げるつもりは一切ない」と話す。

 建設用ロボットが台頭している理由の一つが、建設業界が直面する深刻な労働力不足だ。

 アメリカ契約業者協会(Associated General Contractors of America)の最近の調査では、建設会社の70パーセントが熟練した作業員の確保に苦労していることが分かった。

「ローダーや運搬トラックを運転し、さらに、プラントを稼働させられる有資格者を見つけることは今、とても難しい」と、リーハイ・ハンソンの鉱山プラントマネージャーであるマイク・モイ氏は語る。「もう、誰も手を泥まみれにしたい、とは思っていない。快適なオフィスで、清潔で素敵な仕事をしたい、と考えている」とモイ氏は続けた。

 カリフォルニア州スノールにあるモイ氏が勤務する会社の鉱山プラントでは、建設用に販売するためにうず高く積まれた巨大な土砂の山々の総量を測定するためにドローンを使い、測定にかかる時間と費用を削減している。

main

Adam Crowley / Kespry via AP

 4基の回転翼を持つ自律飛行ドローンは、90エーカーの広さの敷地全体に積まれた土砂の山を25分で測定し終えることが可能だ。ドローンを導入するまでは、同社は請負業者と契約を結び、トラックに積まれたレーザー機器を使い、丸一日かけて土砂の山々を測定していた。

 このドローンは、シリコンバレーを拠点とするケスプリーが開発したもので、同社は、調査で得られた測定データを詳細な三次元マップに変換するサービスを提供し、そのサービス年会費を収益としている。同社はまた、自然災害の被害に遭った住宅を調査する保険会社に対し、ドローンの機体とマッピングサービスを提供している。

 ケスプリーのCEO、ジョージ・マシュー氏は、「ドローンを使うと、より安全で迅速なだけではなく、10~100倍も多い大量の有用なデータを取得することができる」と言い、「当社の事業は、多くの産業界で今日実施されているたくさんの作業に、根本的な大変革をもたらすことが出来る」と話した。

 ビルト・ロボティクスの創始者でありCEOであるレディーキャンベル氏は、人間とスマートマシンが組むパートナーシップに建設作業の進むべき将来像を描いている。

「基本的に、ロボットが作業の80パーセントを担う。この作業は、反復して行われ、危険性が高くて単調なものだ」と同氏は言い、「そして従来のオペレーターは、もっと高い技能が求められる作業を担当する。その作業は、熟練した職人の卓越した技術と精巧さ、そして豊かな経験が無ければこなせない作業だ」と語る。

 ビルト・ロボティクスは最近、サンノゼの建設プロジェクトにおいて、現場で地面を平らに均す作業のために、センサーと自律走行技術を組み込んだ自動操縦のブルドーザーを投入した。このプロジェクトにおいて、同社は開発した技術の実地検証を行え、同時に、相応の収益を得ることができた。

 このサンノゼの建設プロジェクトでビルト・ロボティクスと協業した請負業者のカイル・トゥルー氏は、「私は、自律型のマシンが、建設業界のどこでさらに利用できるようになるのかについて非常に興味がある」と言い、「自律型マシンが、自社にとって競合他社に差をつけるための競争優位のツールになったら良い」と語った。

By TERENCE CHEA, Associated Press
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP

Recommends