自動車が家電見本市の主役に 身近になる自動運転 CES 2018レポート

Jae C. Hong / AP Photo

 スマートフォンや他の小さな携帯用電子機器がかつては世界最大規模のコンシューマー・エレクトロニクス・ショーであるCESの主役だったが、近年、その主役の座は、さらに大きなモバイルデバイス、すなわち、自動車に奪われてしまっている。

 自動車メーカーは、トラックやSUVなどの新車に関する実質的な発表は次回のデトロイト自動車ショーを待つのが通例だ。しかし、トヨタ、起亜、ヒュンダイやフォードといった大手自動車メーカーは、今週、ラスベガスで開催された技術展示の場であるCESにおいて注目に値する存在感を放っていた。自動車メーカー、および、自動車パーツやソフトウエアを供給するサプライヤーにとって、CESは、野心的で斬新なアイデアを披露するまたとない機会となっている。

 月曜日に発表されて注目を浴びた話題を見ていこう。

・トヨタは、小さな店舗としても使える自動運転機能を搭載したミニバスを開発中である、と発表した。これらの車両は、自動運転によって、顧客が衣服や靴を試着したり、フリーマーケットで目当ての商品を選んだりする場所に行くことができる。このプロジェクトはまだコンセプトの段階ではあるが、2020年には試験運用が予定されているという。

・自動車関連のサプライヤー、ボッシュは、ロサンゼルス、マイアミ、およびボストンを含むアメリカ国内の最大20都市で、運転手を空きのある駐車スペースへ誘導するしくみを作りたい、と考えている。同社は、自動車メーカーの主導でこの計画が進行していく、としたが、具体的な自動車メーカー名は明らかにしなかった。車が走行中、駐車している車両とそれらの車両の間隔を自動的に認識・測定し、そのデータをデジタルマップに送信する。

 CESでは他にもいくつかの新開発が発表された。

・テレビメーカー数社は相次いで新製品を発表した。それらを区別するのはすべて略語の頭字語ばかりだ。サムソンのHDR10+とLGのHDR 10 Proという機能は、ハイダイナミックレンジとして知られる映像技術を採用し、動画全体のレベル設定を一度で済ませる代わりに、それぞれのフレームの設定を個々に調整することができるようになった。一方、量子ドット技術はより正確な色の再現を実現する。サムソンはこの技術をQLEDと呼び、ハイセンスはQDEFと名付けた。

・LGがスマートアライアンスのラインナップをステージ上で発表した時、同社幹部のデイビッド・ファンデルワール氏は、彼のパートナーである愛らしい音声アシスタント、CLOiとの信頼関係を急速に失ってしまうという珍事に見舞われた。挨拶をした後、CLOiはそのつぶらなデジタルの瞳でまばたきするばかりで、一切の応答を停止し、何を話し掛けても答えなくなってしまったのだ。ファンデルワール氏はがっくりと肩を落とし、「ロボットだって調子の良くない日はあるさ」と言った。

・HTCは、仮想世界をさらに深く探索するためにヘッドセットをアップグレードした。HTCによると、新しいVive Proは高い解像度と優れた音質を誇り、既存のVRモデルよりも軽量である、という。しかし、台湾を拠点とするHTCは、Vive Proの価格や出荷日をまだ明らかにはしていない。この夏には、ワイヤレス制御のオプションも発売される予定だ。Viveはフェイスブック傘下のオキュラスとハイエンドシステムで競合してはいるものの、サムソンのGear VRやグーグルのDaydreamといったスマートフォンをベースとしたヘッドセットほどは広く使われているわけではない。

 そしてCES番外の話題もある。

・玩具メーカーのVTechは、子供のプライバシーを保護する法律違反の罪に対し65万ドルの罰金を支払った。アメリカ連邦取引委員会は、VTechは親権者の承諾を得ないで子供の個人情報を収集し、さらに収集したデータを十分に保護していなかった、と語る。このような玩具の人気が高まり、様々なメーカーがより多くの玩具やインターネットに接続できる機器を今週、CES 2018技術博覧会の場で発表するだろう、との予測が広まっている。

By MATT O’BRIEN and RYAN NAKASHIMA, Las Vegas (AP)
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP