ペットボトルの水からナノプラスチック、推定の10~100倍検出 健康リスク懸念

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 大気中、海洋中から食品、衣服、人体の臓器まで、化学物質で製造されたプラスチックの粒子「マイクロプラスチック」が確認されている。健康に影響を及ぼす可能性があると言われるこの粒子より、さらに微細かつ大量のナノプラスチックがボトル飲料水から検出された。健康への影響は……。

◆1リットルあたり平均24万個 健康リスクへ懸念
 店頭で販売されているペットボトル入りの飲料水に、当初の推定より10倍から100倍も多くプラスチックの細片が含まれていることが最新の研究でわかった。プラスチックの細片は顕微鏡で見ることができないほど極小のナノ粒子で、この発見により健康への影響が懸念されている。この研究成果は8日、学術誌「米国科学アカデミー紀要」に発表された。

 コロンビア大学ラモント・ドハティ地球観測所の研究チームが、高度な画像処理技術を使って、主要ブランド(どのブランドかは明かされていない)3種の水のサンプルを調べたところ、1リットルあたり平均約24万個のプラスチックの細片を検出した。水の中に検出したプラスチックの細片の約10%がマイクロプラスチックで、90%が微小のナノプラスチックだった。

 数年前からマイクロプラスチック(1マイクロメートルから5ミリメートルの大きさの粒子)がボトル入り飲料水や水道水に含まれていることが確認されていたが、今回、ナノプラスチック(1メートルの10億分の1の粒子)が確認されたことから、研究者は警鐘を鳴らしている。

 コロンビア大学の環境化学者でこの研究の共著者であるベイザン・ヤン氏は、「ナノ粒子のサイズは非常に微小なため、大きな物質とは異なる挙動を示す。粒子径が大きいときはそれほど毒性がなくても、小さくなると毒性を持つようになる」と言う(ロサンゼルスタイムズ、1/8)。

 専門家によると、人間の髪の毛の平均的な幅の1000分の1というナノプラスチックは、非常に微小なため、消化管や肺の組織を通過し血流に入り、潜在的に有害な合成化学物質を全身に行き渡らせ、細胞内に取り込む可能性がある。

Text by 中沢弘子