フランス、家庭の生ごみの堆肥化が義務に 温室効果ガスを削減

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 家庭のごみの約3割が生ごみというフランス。生ごみを焼却や埋め立て処理するのでなく、リサイクルする取り組みを進めている。欧州連合(EU)全体で温室効果ガスを削減するのが狙いだ。1日からは全国レベルで生ごみの分別の義務化が施行した。

◆生ごみをバイオガスや堆肥としてリサイクル
 フランスでは1月1日より、全国レベルで有機性廃棄物の堆肥化が義務化された。各自治体は市民に対し、生ごみや野菜の皮、消費期限切れ食品や庭のゴミといった有機性廃棄物の分別方法を提供しなければならない。この措置は政府の「緑の基金」から拠出される。

 家庭や事業者は、有機物を家庭専用の小さなごみ箱か、自治体の収集場所に廃棄することが義務付けられる。生ごみ、乳製品、卵の殻など、保存や再利用が不可能な食品廃棄物はすべて、コンポストに入れるか、分別して回収する。液体、非食品、包装は、対象外になっている。

 以前は、年間5トン以上の有機廃棄物を出す人にのみ分別が義務付けられていた。地方自治レベルでは、有機廃棄物のコンポストや分別の簡単な方法を市民に提供することが義務化されている。回収場所が全国レベルで設置され、同規定に抵触しても、罰金は科せられない。将来的に規定が厳格化されるかどうかは不透明だ。

 今回の義務化の目的は、一般家庭のごみ箱を軽量化すること、また、水分を多く含む有機廃棄物の焼却炉での焼却、埋め立てを回避することにある。家庭のごみ箱には、果物や野菜の皮、卵の殻、コーヒーかすなど、約30%の有機物が含まれている。これらは、リサイクルして、ガーデニングや農業の肥料にしたり、バイオガスとして運転や暖房に使用したりできるのだが、しばしば廃棄されてしまう。

 回収された有機性廃棄物は、バイオガスや堆肥に生まれ変わり、堆肥は、化学肥料の代わりになる。家庭で堆肥化することも可能だ。

Text by 中沢弘子