世界に広がる日本の「もったいない」

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◆風呂敷や金継ぎに魅了されるフランス人
 実は、風呂敷は最近フランスでも静かなブームとなっており、雑貨店やフランスのアマゾンなどでも販売されているし、風呂敷の使い方を説くWEBサイトも数多くある。

 またここ数年、割れた瀬戸物に新しい息吹を吹き込む金継ぎへの注目度も上昇している。面白いことに、なかには金継ぎの意味を拡大して用いる例も出ている。たとえば、心理学者であるキャローニ・ウィリアムズ氏は、『Kintsugi』という著書の中で、「心の傷の修理」法としての金継ぎを説いている(ヴォーグ・フランス誌)。

◆捨てられるものへの視線の変化
 こうした流れとともに、フランスでは捨てられるものの再利用を検討し直す例が増えた。たとえば、機上への液体持ち込み禁止が導入されて以来、空港では毎日大量の食料品や化粧品が没収されている。公式発表によれば、2017年にパリ郊外のシャルル・ドゴール空港では14トンの物品が没収された。

 この没収品の山の寄付を、フランスで最初に実行したのはニース空港だ。2022年3月から同地方のボランティア団体と提携し、1年半ですでに5万3千点の品を寄付した。南仏とあり、ワインや、香水、オリーブオイルなどが多いという。同様にシャルル・ド・ゴール空港でも今年の6月から没収品寄付の試みを始めたところだ。(フィガロ紙

 また、ビュッフェ形式の食事を出すレストランで、「食べ残した場合、〇ユーロお支払いいただきます」という文面を目にするようになったのもごく最近のことだ。取り皿いっぱいに盛っておいて食べずに残す人は案外多く、この一言が少しでも歯止めになればということであろう。

 環境問題がクローズアップされエコロジーの概念が広まるに従って、「MOTTAINAI」概念の注目度はますます上がりそうだ。

Text by 冠ゆき