世界に広がる日本の「もったいない」

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 「もったいない」という日本語の形容詞は、翻訳しづらい言葉として知られる。今世紀に入ってから、この概念は海外からも注目を浴びることが増え、昨今では西欧にも「もったいない」概念そのものが浸透してきている。

◆3R+Rを内包する形容詞「もったいない」
 「もったいない」を英語に訳すと、「What a waste!」という文章にされることが多く、日本語のような形容詞は存在しないという。また訳文には、「もったいない」が持つ「身の回りの資源を尊重・感謝し、無駄にせず使う」というポジティブなニュアンスがない。

 「もったいない」という語には、環境運動3R(Reduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化))に加え、地球資源へのRespect(尊敬の念)も込められていると看破したのは、故ワンガリ・マータイ氏だ。同氏は、2003年からケニアの環境副大臣を務め、その功績により2004年にノーベル平和賞を受賞。2005年にMOTTAINAIキャンペーンを立ち上げ、この概念を世界に向けて発信した。

◆MOTTAINAIキャンペーン
 同キャンペーンの主要な柱は4つあり、ケニアでの森林再生支援、メディア活動などを通じた「もったいない」の概念の周知、「もったいない」精神を推進するさまざまなイベントの開催、4R(リデュース、リユース、リサイクル、リスペクト)を遵守して作った製品を販売するウェブショップの運営だ(政府広報オンライン)。

 このウェブショップでは、たとえば、ペットボトルのリサイクルで作った風呂敷を販売している。風呂敷自体、再利用が可能で、梱包の無駄を減らすのに役立つことに加え、その風呂敷もリサイクルによってできているという二重のR商品だ。

Text by 冠ゆき