英国のシェフら、養殖サーモンに「ノー!」 メニューから外した理由とは

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 「アニマルウェルフェア」と呼ばれる、鶏や豚、牛など家畜がストレスのない健康的に満たされた生活を送ることを重視した飼育方法や環境が世界的に問われている。その動きは畜産だけでなく、水産にも広がっている。イギリスでは全国各地の有名シェフがサーモンの養殖方法に疑問を投げかけた。ホテルや飲食店で何が起きているのか?

◆環境とウェルフェアに影響 サーモンの養殖方法に反対
 イギリス各地の有名シェフらが、こぞって桜色をした肉、通称「海のチキン」と呼ばれるごちそうに背を向け始めている。養殖サーモンをめぐる環境とウェルフェア問題に対する懸念が理由だ。抗生物質や化学薬品の使用、飼料用天然魚の過剰消費、減少する天然サーモン個体群への悪影響、養殖サーモンの品質に対して懸念の声を上げている(エコノミック・タイムズ、10/14)。

 ガーディアン紙(10/14)によると、ミシュランの星付きレストランや、有名なレストラングループ、美術館などに活動は広がっている。エジンバラのレストラン「パーマストン」の料理長ロイド・モース氏は、同紙に「とても粗悪品だと思うし、野生のサーモンに与える影響があるから、私は出さない」と語る。

Text by 中沢弘子