侵略的外来種、絶滅種の6割の要因 年61兆円損失 報告書

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◆アライグマ、アジアスズメバチなど外来種増加
 生物学的侵略の影響の34%がアメリカ大陸、31%がヨーロッパと中央アジア、25%がその他のアジアと太平洋地域、そして約7%がアフリカで報告されている。

 ユーロニュース(9/4)は、アジアスズメバチ、アメリカザリガニ、ブタクサ、イタドリ、リス、アライグマなどの侵略者は増殖し、農作物や森林を荒らし、病気を蔓延させ、地球上の生活の質を脅かしていると述べる。

 一度の攻撃でミツバチのコロニーを全滅させるオオスズメバチは、貨物船に紛れてアジアからアメリカに到着したと考えられている。アフリカのビクトリア湖では、南アメリカ原産の浮草「ホテイアオイ」の蔓延(まんえん)によって漁業が衰退。太平洋では外来のネズミやヘビによって多くの鳥類が絶滅。また、蚊によって新たな地域でジカ熱、黄熱、デング熱などの病気が広がっている。

 報告書によると、この猛威を管理するための法律や規制がある国は17%しかない。欧州委員会は1月、侵略的外来種対策を怠ったとして6つの加盟国に対し法的措置を講じている

 評価報告書の共同議長であるヘレン・ロイ教授は、「現在確認されている3万7千種の外来種のうち37%は1970年以降に報告されたものであり、その主な原因は世界的な貿易量の増加と人間の移動にある」と指摘。「侵略的外来種は生物多様性に対する大きな脅威であり、地域的・世界的な種の絶滅を含む自然への不可逆的な被害を引き起こし、人間の健康をも脅かす可能性がある」「将来的に大きな懸念事項になる」と語る。また、「通常通り」の条件下では、外来種の総数は増え続けるだろうと予測している。

Text by 中沢弘子