中国、風力・太陽光発電が急増 目標を5年早く達成の見込み

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◆世界有数のソーラーパネル生産国
 こうした急増は、20年以上前に作成された計画の成果だ。この20年近くで、中国は世界有数のソーラーパネルの供給元となり、サプライチェーン全体にわたってコストを引き下げた。それにより、中国における太陽光と風力の発電設備の設置は、経済的な競争力をつけた。また、補助金や各省にグリーンエネルギー目標の達成を義務づけた規制も一役担った。

◆石炭火力発電も増加
 再生可能エネルギーの分野で世界をリードする存在になった可能性があるとはいえ、世界最大の温室効果ガス排出国である中国は石炭の生産も増やしている。世界の石炭消費量の半分を中国が占めている。

 フィンランドに拠点を置く独立系のエネルギー・クリーンエアー研究センター(CREA)とグローバル・エナジー・モニターの報告書によると、昨年には中国で認可される石炭発電プロジェクト数が急増し、新規認可件数は2015年以降で最多の水準になった。この傾向は続き、2023年の最初の3ヶ月間で承認された石炭火力発電の電力量は、2021年全体を上回った(ガーディアン紙、4/24)。

 グローバル・エナジー・モニターの研究者で報告書の著者の一人、マーティン・ワイル氏は、「中国は躍進しているが、石炭が依然として主要電力源であるため、安全なエネルギーの未来のためには、エネルギー貯蔵とグリーンテクノロジーにおいてより大胆な変革が必要だ」と見解を述べた。

Text by 中沢弘子