「地中海食」でサステナブルな未来都市へ イタリア・ポリカで進む一大プロジェクト

イタリアのポリカ市|mezzotint / Shutterstock.com

◆包括的なアプローチとしての地中海食
 FFIの創設者で代表のサラ・ロヴェルシさんは、経験豊富な社会企業家で、サステナブルな食品産業の仕組み作りに関して、官民をつなぐリーダーとして活躍している。

 FFIの活動は、主に食にまつわる教育プロジェクトと、革新的な手法を用いて食のエコシステムを再構築するためのイノベーションプロジェクトを行うことだ。そして今最も包括的に行っているプロジェクトが、イタリアのポリカ市における「Pollica 2050(ポリカ2050)」だ。

 新型コロナウイルスによる世界的なパンデミック発生後の2020年に、地中海リビングラボ、持続可能な村のプロトタイプである「ポリカ-パイデイアキャンパス」を設立。環境保護と人間の健康、領土と市民の福利の再生、社会正義、気候変動を組み合わせた「インテグラル・エコロジー」の概念を実践する場を構築した。

 この「インテグラル・エコロジー」という概念は、「すべては密接に関連している」という概念に根差した考えだ。今日の地球規模の危機は、あらゆる側面を考慮に入れたビジョンなしには解決しないという考えがそこにある。

FFIとFAOのeラーニングプログラムの一環としてポリカ市で行われた、
食と気候変動に関するブートキャンプの様子

Text by 寺町 幸枝