「廃棄物」を「鉱脈」に リサイクルエネルギーめぐる動き加速

バイオガスで走るバス(フランス・パリ、7月28日)|Jacky D / Shutterstock.com

 同様に、2025年にオープン予定のジェヌヴィリエのバイオメタン化施設でも、1年に約30GWhのバイオメタン生産が期待されている(アクチュ・アンヴィロヌマン、6/27)。

◆プラスチックボトルを燃やしてガソリンを抽出
 パレスチナのガザ地区でも、ガソリン不足と価格高騰は深刻だ。RTL 5minutes(8/27)によれば、もともと人口230万人のガザ地区の経済状態は悪く、失業率は約50%、平均時給は2ユーロだ。ロシアのウクライナ侵攻の影響で、イスラエルから入ってくるガソリンの値段は一時1リットル2.45ユーロにまで上昇した。

 地中海に囲まれているにもかかわらず海水の淡水化が追いつかないガザは、廃棄ペットボトルにあふれる地域でもある。これに目をつけ、ペットボトルを燃やしてガソリンを抽出する商売を始めたのがマームード兄弟だ。8ヶ月の試行錯誤を経て彼らがたどり着いた手法はごく原始的なものだ。1000リットル近い燃料を一度に抽出するのに12~14時間かかり、温度が下がるのを待ち清掃するため次の抽出まで約8時間置く必要がある。作業員のなかには手袋もマスクも着用していない人もいて、ガザ国立環境開発研究所所長は人体や環境への悪影響を憂慮している。それでもその価格は市場の半額とあり需要は高い。(同上)

◆廃棄物=鉱脈という見方
 ここ数年、フランスでは「廃棄物」という言葉に代わり「鉱脈」と訳される単語が用いられることが増えている。これは「廃棄物」=「まだ採掘されていない資源」という見方の広がりを示している。

 ガザのガソリン抽出のような安全性を確保できていないリサイクルはもってのほかだが、エネルギー危機は「廃棄物」を生かす思案を世界的にさらにスピードアップして深めるきっかけにもなるだろう。

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Text by 冠ゆき