途上国に汚れたプラごみを不正輸出…利益上げるリサイクル業者、犯罪組織ら

マレーシア・クアラルンプールのごみ埋立地(2019年4月)|Farrel Arissa / Shutterstock.com

 リサイクルされるはずの大量のごみが、違法に途上国に輸出されている。中国が2018年に資源ごみの受け入れをやめた後、東南アジアの国々に処理能力以上のプラスチックごみなどが運び込まれ問題化した。2019年には有害廃棄物の越境移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約が改正され、180ヶ国以上が豊かな国から貧しい国に汚れたプラごみを輸出しないことを誓ったが、状況は悪化している。

◆規制も意味なし? 不正行為横行
 ロサンゼルス・タイムズ紙(LAT)は、スイスの独立系調査グループ、グローバル・イニシアチブの報告書を取り上げ、ブローカー、仲介人、リサイクル会社、犯罪組織などが、大量の捨てられたプラスチックを欧米やオーストラリアからアジア、アフリカなどに運んでいると報じている。ごみの輸出業者は規制の裏をかき、質の悪いリサイクルに適さないプラスチックを貧しい国に送り続けているのが実態だという。

 報告書によると、合法的なリサイクル会社とごみのブローカーは詐欺行為を行っており、禁止されたプラスチック製品をほかの製品に混ぜて隠し、違法に廃棄し、検査官に摘発されないよう賄賂を贈ったりしているという。輸出者は自分たちの積み荷に不正なラベルを張り、廃プラスチックが国際ルールに従ったものだと見せかけ、税関職員に気づかれないようにしている。また、輸送時に異なる複数の国を経由させてごみがどこから来たのかわからなくしている場合も多く、送られてきた国が元の場所に送り返すことを困難にしているという。(LAT)

Text by 山川 真智子