「リサイクル」の落とし穴 プラスチックを拒否する理由

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 日本全国の小売店にレジ袋の有料化が義務化され、7月1日から開始した。便利で身近なレジ袋を有料化することで「ライフスタイルを見直すきっかけとする」という目的があり、プラスチックごみの削減に向けた意識改革を促す。プラスチック製買物袋を扱う小売業すべての事業者が対象となるが、紙袋や布の袋、地球にやさしい植物由来の買物袋などは対象から除外される。もともと今夏に予定されていた東京五輪・パラリンピックを考慮しての制度だったこともあり、やはり世界を意識したとき、環境問題は避けて通れないトピックである。国連環境計画(UNEP)によると、レジ袋に関する法規制実施国は127ヶ国にのぼる。

◆捨てたプラスチックを食べている
 国内のレジ袋の使用は年間20万トンで、1年間に出る廃プラの約2%を占める。日本の人口一人あたりのプラスチック廃棄量は、米国に次いで世界2位である。世界からみても、日本のプラスチック使用は異常であり、 PlasticObsessedJapanという、プラスチックの過剰包装をネタにし、その異常さに気づいてもらおうとするインスタグラムアカウントも存在する。

 プラスチックは成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献しているが、優秀であるが一方、環境・資源・ゴミ問題などに大きな影響も及ぼしている。まず、世界で少なくとも年間約800万トン、重さにしてジャンボジェット機5万機相当ものプラスチックが、ごみとして海に流れ込んでいると推計されている。その海に流れ込んだプラスチックは、長距離を移動するなかで「マイクロプラスチック」と呼ばれる5mmよりも小さい粒子となり、それを飲み込む魚の体内に蓄積され、それ食べる人間もプラスチックを体内に取り入れることになる。世界自然保護基金(WWF)は、1週間に1人平均5gのプラスチック(クレジットカード約1枚分)を体に取り入れているという報告を出した

 また、プラスチックは腐らないので土に埋めても分解されない。炭素と水素が主体の化合物のため焼却可能だが、プラスチックの原料である石油は化石燃料なので、燃えた後に生じる二酸化炭素が大気中に増加することによって地球温暖化の原因ともなる。もしこのままのプラスチック消費量の増加が続けば、2050年までに石油総消費量の20%と世界の年間炭素予算の15%をプラスチックが占めることになると予測されている

Text by sayaka ishida