女性の昇進を妨げる見えない壁「グラス・シーリング」とは

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 グラスシーリング(glass ceiling)という言葉をご存知だろうか? 直訳すれば「ガラスの天井」という意味になるが、もう一つの意味は、女性やマイノリティに影響を与える、能力があっても組織内や仕事での昇進などができない、見えない打ち破れない障壁のことである。グラスシーリングは、目に見えるものではないが現実に存在し、この比喩を裏付ける統計は数え切れないほど多く存在する。

◆上級職で顕著
 女性が企業のCEO(最高経営責任者)ポジションにつく数は以前と比べ多くなってきているが、その地位を占める女性の割合は依然として少ない。具体的には、米国の上位3000社の女性CEOの数は、過去10年間で倍以上の167になったが 、しかしその数はまだ全体の6%未満である(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。日本でも、女性社長比率は全国で7.9%と上昇傾向にはあるものの依然として低い(帝国データバンク)。

 その理由の一つには、時代遅れの女性へのバイアス(偏見)がある。女性がCレベル(経営幹部)の職に昇進する場合、人事、法務、もしくは別の管理部門の責任者になることが多い。もちろんこれらの部署も例外なく重要だが、企業に直接利益をもたらす機会はあまりない。通常CEOのポジションに影響を与えるのは、利益や損失を管理するCレベルのポジションである。これらの地位から女性を遠ざけることによって、女性はトップの役割から除外されることになる。これは、有色人種の女性でさらに顕著になり、上司から昇進の機会を与えられたり、企業内の内部事情をうまく切り抜ける手助けを得られることも少ない。

Text by sayaka ishida