女性の昇進を妨げる見えない壁「グラス・シーリング」とは

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◆ITとゲーム業界で顕著
 業界別でみると、テクノロジーやゲーム業界でジェンダーギャップがよく問題となるが、グラスシーリングの現状も大きな課題である。ITサービス会社Ivantiの調査によると、テクノロジー業界の女性31%はガラスシーリングが存在し、女性の昇進を抑えていると考えている。業界が大きくなるにつれ、今後さらに多くの女性がこの業界に参入すると予想されるが、重要なポジションに就く女性の数は、過去10年間変化せず16%に停滞している。62%の女性が、長年の固定観念が依然として男性有利に働いていると述べ、同じ立場の男性と女性は「異なる基準によって判断される」と感じている。

 ゲーム業界でもIT業界と同様に、カルチャー的な問題を抱えているとされる。業界で働く女性に対するオンライン・オフラインにおけるセクハラは当たり前で、賃金格差は解消されず、男性優位の職場環境が多いとたびたびメディアで取り上げられている。どちらの業界にもいえることだが、もともと男性従業員が多く、男性に支配されていた業界であったが故に、女性を受け入れることができないでいる場合が多い。女性が居心地よく働くことができない理由として、目標になるロールモデルがいないことや、テクノロジーやゲームのキャリアは男性の方が適しているなどの固定観念があることが考えられる。

◆日本の現状とロールモデル
 日本は男女平等を含むジェンダーのカテゴリーでは、先進国のなかでも圧倒的に遅れている。世界経済フォーラムが発表した「2020年ジェンダーギャップ指数」の日本のランキングは153ヶ国中121位と下から数えたほうが早い。しかし、日本にもグラスシーリングを破り、活躍している女性は数多くいる。国連で働く日本人女性の数は増加傾向にあり、その比率は中央官庁や民間企業をはるかに上回っている。

 日本人初の国連難民高等弁務官として1991年から2000年まで10年間の任期を務めた緒方貞子氏の影響は計り知れない。彼女の貢献は、何百万もの避難民を支援することにとどまらず、世界の舞台でキャリアを構築したいと考える日本人女性に刺激を与え、現在もロールモデルとして多くの女性の目標である。東京の国連広報センター所長、根本かおる氏も同様に緒方氏にインスパイアされ、1990年代に国連で働きはじめた。「緒方さんにあこがれ、背中を押されて国連のドアをたたいた日本人女性が幹部になりつつある」と語った(日経新聞 19/11/15)。

 また、2019年にはユニクロの日本事業の最高経営責任者(CEO)に初の女性、赤井田真希氏が抜擢され話題となった。ユニクロの柳井会長は、女性は「忍耐強さ、細かいことを根気よく取り組む、美意識がある」として、会社のトップには女性のほうが向いていると述べている(ブルームバーグ 19/9/4)。

 グラスシーリングはさまざまな理由によって存在するが、まずはその存在を知り認識することからはじまる。理解することは、そのような障壁と闘うための基礎であり、一人の努力でなくすことはできない。企業内で定期的な偏見やステレオタイプを取り除くためのトレーニングやブラインドスクリーニングを実施することなどに意識を向けることも必要である。

Text by sayaka ishida

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