米でレジ袋が復活、新型コロナへの恐怖から 心配される脱プラへの影響

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 アメリカではレジ袋を禁止したり有料にしたりすることで、使い捨てプラスチックを削減する動きが広がっていた。ところが新型コロナウイルスの感染拡大で、マイバックからの感染を心配し、レジ袋を復活させる自治体が出てきている。脱プラスチックの努力に水を差すのではないかと懸念されている。

◆次々とレジ袋復活 専門家は疑問視
 アメリカでレジ袋を禁止、または有料としてきたのは、カリフォルニア、ハワイ、マサチューセッツなど複数の州と、ニューヨークやワシントンなどの都市だ。しかし、コロナ危機により、買い物袋を通じてのウイルス感染の可能性が指摘され、大手スーパーなどがマイバッグの利用を禁止した。レジ袋の使用を禁止している自治体でも一時的に禁止を解くところも多くなっている。

 カリフォルニア大学デービス校の微生物学者、ジョナサン・アイゼン氏は、ウイルスのついた買い物袋が持ち込まれ、誰かがそれに商品を詰めれば、確かに感染の機会はありそうだとする(注:アメリカでは店員が客の袋に詰める場合が多い)。しかし可能性としては非常に低いということだ。店が用意した袋でも感染源になり得るし、一般的な物の表面、袋、カウンターなどに心配するほどの大きなリスクはないと同氏は述べる。むしろマスクやついたてなどを店員に利用させるほうが、明らかにより大切だとしている(米公共ラジオ網NPR)。

 ロサンゼルス・タイムズ紙(LAT)の編集委員会は、まだ謎の多いウイルスの広がりへの恐怖から、レジ袋禁止撤回などの緊急対応が取られることは理解できるとする。しかし、マイバッグがだめなら紙袋を使うこともできるし、袋詰めせず直接カートで買ったものを車まで運ぶこともできると指摘。プラスチック削減に向けたこれまでの長い努力をコロナ危機で諦めるべきではないという考えを示している。

Text by 山川 真智子