使い捨てコーヒーカップ廃止、サンフランシスコのカフェで広がる 大手も参加

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サンフランシスコで新たなコーヒー文化が生まれようとしている。持ち帰り用の紙コップに代わり、ガラス瓶、レンタル用マグカップ、マイカップ方式を採用するカフェが増えているのだ。

ごみを減らそうという地元のカフェで始まった小さなトレンドの波に、街中にあるレストランやコーヒー業界大手の一部も乗ろうとしている。

ミシュラン三ツ星レストラン「アトリエ クレン」のオーナーで有名シェフのドミニク・クレン氏は、サンフランシスコにカフェを来年オープンする予定だ。そこでは持ち帰り用の袋や使い捨てコーヒーカップがなく、プラスチック製品も使用されない。広報担当のケイト・ビットマン氏によると、店で注文した飲み物を持ち帰る顧客には、マイカップを持参するよう呼びかけることになるという。

また、全米の70店舗で月に約1万5,000の持ち帰り用カップを使用している大手コーヒーチェーンのブルーボトルは、「顧客と世界に向けて、使い捨てカップをなくすことができるということを示したい」としている。

同社は年末までに「ごみの排出ゼロ」を目指す取り組みの一環として、まずはサンフランシスコ地区にある2店舗で紙コップの使用を止めることにした。コーヒーを持ち帰る顧客はマイカップを持参するか、デポジットを支払って再利用可能なカップを使わなくてはならない。

再利用可能なカップの場合は、それを持ち帰るか、店に返却してデポジットを受け取ることになる。デポジット料は3~5ドルになる予定だという。

CEOのブライアン・ミーハン氏は、「この試験プログラムによって世界展開に向けた学びを得られるだろう。いくらか売り上げが減ることは予想しているし、賛同できない顧客もいるはずだ。だが、備えはできている」と話している。

ニューヨークを本拠とするリサイクル投資企業クローズド・ループ・パートナーズのブリジット・クローク氏によると、アメリカの大手カフェチェーンやファストフードチェーンは、いま以上に環境に優しい企業にならなくてはならないという圧力を感じ、関係する動きを注視しているという。同社はスターバックスやマクドナルドと協力して、使い捨てカップに代わる環境配慮製品の開発を行っている。

紙コップという名前にもかかわらず、一般的に使われているホットドリンク用紙コップの原料は紙だけではない。クローク氏によると、液体漏れを防ぐプラスチックがコーティングされているため、リサイクルが難しいという。また、いますぐに使い捨ての紙コップを全面的に禁止したり、すべての顧客にマイカップの持参を求めたりするのは困難とみられるため、別の解決法が模索されている。

スターバックスとマクドナルドはクローズド・ループとの提携に1,000万ドルを投じ、リサイクルができて堆肥化も可能な「未来の使い切りカップ」を開発している。

クローク氏は、「この問題を解決しないとビジネス上のリスクになることを両社は認識している。カップの取り組みはその最たる例だ」と話す。また、実験を行う場所としてブルーボトルが選択したサンフランシスコは間違いなく最適な市場だという

アメリカで1万5,000店以上、世界で約1万6,000店を展開するスターバックスは来年、新たなリサイクルカップを5つの都市で実験する計画がある。広報担当のノエル・ノボア氏によると、実験が行われるのはサンフランシスコ、シアトル、ニューヨーク、バンクーバー、ロンドンである。

カリフォルニア州にある諸都市は長らくリサイクルで主導的な役割を果たし、環境に優しい慣習を促す法律を成立させてきた。

昨年はすべての州に先駆けて、レストランで飲み物用のプラスチックストローを無償提供することを禁止した。また2014年には、全米で初めて小売店がプラスチック製レジ袋を買い物客に無料で提供することを禁じた。袋が必要な顧客は10セントを支払わなくてはならない。

さらに昨年、サンフランシスコ国際空港では、全米の主要空港で初めてペットボトルに入ったミネラルウォーターの販売を禁じた。現在、ミネラルウォーターはガラス製のボトルかアルミ缶で販売されているほか、旅行客にはマイボトルを持参のうえ、無料の水飲み場で水を入れるよう求めている。

バークレーのカフェやレストランでは1月から、使い捨てカップを使うと追加で25セントの支払いが求められるようになっており、サンフランシスコでも同様の規制の導入を検討している。

10を超えるバークレーのカフェ店では、追加料金の導入を前に手を結び、マグカップのシェアリング施策を導入することにした。顧客が加盟店でステンレス製のカップを借り、ほかのどの加盟店でも返却できる仕組みだ。このカップを提供しているコロラド州のスタートアップ企業「ベッセル」も、ボルダーで同様の取り組みを実施している。

サンフランシスコに住むコーヒー愛好家の多くは、ブルーボトルによる今回の発表を冷静に受け止めている。

「当然のこと。いいアイデアだ」と、オークランドのブルーボトルにいたフリーランサーのトレイシー・シュロス氏は話す。「顧客にマイカップ持参を求めるのは、小さな第一歩。そうした思考を私たちは身につけなければならない」

サンフランシスコに住む電気工のジェフ・マイケル氏は、コーヒーは好きだが、マイカップを忘れたときに追加料金を支払うのは困るという。カフェモカを飲みながら、「これを飲むのにもう7ドル近くも支払っている。一杯のコーヒーに一体何ドル支払うのか?」と話す。

小さなカフェを営むケダー・コルデ氏は、サンフランシスコではステンレス製の水用ボトルが必需品のアクセサリーとなったように、いつの日かコーヒーを飲む人が再利用可能なマグカップを持ち歩くようになるだろうと楽観視している。

オークランドにあるコルデ氏の店「パーチカフェ」は昨年9月から、プラスチック製のふたやストローだけでなく、紙やプラスチックのカップの使用も止めた。

「提供しているのは12オンス(350ミリリットル)か16オンス(470ミリリットル)サイズのガラス瓶だ」という。顧客は50セントのデポジットを支払い、瓶の返却時にデポジットを返してもらうか、瓶を持ち帰る場合は次回の注文に使える25セントの割引券をもらう。また、瓶用の再利用可能なスリーブを50セントで販売している。

顧客が新しいシステムにすぐに適応してくれたことに、コルデ氏は驚きを隠せない。この価格設定のきっかけとなったのは、9歳の娘だ。娘の学校で、カフェの向かいにあるメリット湖周辺を掃除する行事があった際、湖にカフェの紙コップが捨てられていると聞かされたという。

娘から、カフェの紙コップが湖に捨てられる状況を変えられないのなら、もう子供部屋の掃除をしないと冗談を言われたが、コルデ氏は真面目に考えた。

「ここは小さなカフェにすぎない。地球を救うようなことはしない。だが少なくとも、私たちの紙コップが湖に捨てられるようなことは決してない」と話している。

By JOCELYN GECKER Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP