「セクシーではない」日本の石炭火力発電、新興国への輸出に世界から厳しい目

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 国連気候変動サミットのためニューヨークを訪れた小泉環境相が、気候変動への取り組みはセクシーでなければならないと発言し話題となった。その後、二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電を活用し続けている日本について、まったくセクシーではないと環境保護団体からダメ出しされている。日本は石炭火力発電所の途上国への輸出も進めており、世界から大きな批判を浴びている。

◆国連も問題視の石炭火力 日本も削減方向へ
 今回の気候変動サミットでは、スピーチのための登壇の機会は日本にはなかった。サミット前に出されたフィナンシャル・タイムズ紙(FT)の記事によれば、グテレス国連事務総長は参加する各国に対し、石炭火力発電所の新規建設停止、化石燃料への補助金削減、2050年までに二酸化炭素の実質排出ゼロを要求したという。石炭火力発電所の新規建設を行っている日本や南アフリカ、石炭火力用の石炭を輸出するオーストラリアなどには声がかからないだろうと述べていた。

 もっとも、環境省は石炭火力削減の方針を示している。今年3月の時点で、原田前環境相は、経済的観点からの必要性しか明らかにされない案件および「目標達成の道筋」が準備書手続きの過程で示されない案件に関しては、発電所の建設の中止を求めると発表していた。

 ガーディアン紙は、今年日本ではすでに予定されていた3つの石炭火力プロジェクトが中止されたと報じ、予想以上に早く日本のエネルギーセクターによる転換が進むのではないかとしている。同紙は、関西電力が再エネ目標を積み増すと発表したこと、丸紅が石炭火力から手を引き、再エネ重視の方針を発表したことなどを報じている。

Text by 山川 真智子