作物特許に対抗 世界で広がる種子の「オープンソース化」

◆世界の反応
 種子のオープンソース化を進める運動は、アメリカが先陣を切っているように見えるが、この概念は世界中に急速に広がっている。

 インドでは、持続可能な農業センター(農業資源の専門団体と説明している)が、種子のオープンソース化計画を実施している。計画では農業従事者と協力して、インドの伝統的で多種多様な食べ物に必要な種子の保存や、特別なニーズにあった新しい品種の開発に取り組んでいる。また同センターは、農業従事者がオープンソースの種子の利用や販売ができるよう支援もしている。

 ドイツの団体アグリコル(Agrecol)は、オープンソースの「ライセンス」を立ち上げようとしている。このライセンスは要するに、より公式で法的拘束力のある、EU圏内の育種家のためのOSSI誓約のようなものだ。(ただし品種改良を管理する規制は国によって異なるため、OSSIの誓約はヨーロッパやそのほかの場所でそのまま適用できるものではない)2016年11月初め、EUの政策執行機関である欧州委員会は、従来の方式で品種改良された植物は、特許取得不可であるべきだと宣言した。欧州特許庁は従来の品種改良で生まれた作物の特許を許可してきたが、その現方針を転換させるものとなった。この声明は法律ではないが、今後はヨーロッパの各国政府の判断で、委員会の声明を実行するよう特許庁に圧力をかけることができる。

 2016年10月、オランダの組織、ヒボスは、エチオピアで種子のオープンソース化に関する会議を開いた。会議には東アフリカ周辺国から、農業従事者、コミュニティ・シードバンクの経営者、政府やNGOの代表者、種苗会社が参加し、種子のオープンソース化を進める運動や種子の特許取得という世界的な変化について学んだ。(編集者注:ヒボスはグローバル・ボイスの支援者である)

                                                                                                                 

 ヒボスで種子のオープンソース化計画を進めているウィリー・ダウマ氏は、組織は現在、国際的な協力関係を築いており、2017年には正式に制度を立ち上げたいと話している。ヒボス、非営利の国際開発団体のUSCカナダETCグループなどからなる、環境と開発の合同グループは、シード・マップ・プロジェクトを立上げ、世界の種子と生物多様性に関するデータベースを作った。W.K.ケロッグ財団やマックナイト財団などの慈善基金団体が参加している、食料の未来のための世界同盟が、2016年9月に発表した報告書によると、盤石な食料供給を保証するには農業従事者が種子を入手、交換、改良でき、種子に関する方針決定に発言権を持つことだとしている。また報告書は、持続可能な食料システムで、さまざまな地域固有のタネ生産者が果たす役割について述べている。OSSIのルビー氏も、より多くの生産者に参加してもらいたいと思っている。

 「これまで食に関する議論は、生産の場所や方法が中心で、タネに関するものはあまりありませんでした。私たちは『食べものには、より深い層(タネ)があるんだ』ということを人々に知ってもらいたいのです」と彼女は言った。

 レイチェル・サーナンスキー氏はフリーランスで活躍するジャーナリストで、主に水、石炭灰、持続可能な農業に焦点を当てた環境問題や、移民や人身売買問題について、ニューヨーク・タイムズ紙やナショナル・ジオグラフィック・ニュース、グリストやスミソニアン・ドットコムなど幅広いメディアで記事を書いている。ニューヨーク生まれ、デンバー在住。

This article was originally published on Global Voices(日本語). Read the original article.
Translated by Nao Iwashita
Proofreading:Ko Ito

Text by Global Voices