韓国×反日 海外の反応まとめ

 日韓関係の改善をめぐる記事が、真っ二つに割れている。

 日本と韓国の間には、長らく領土問題や歴史認識に関する問題が横たわっている。両国ともに、強硬な姿勢をとり続けており、関係悪化の溝は深まるばかりである。

 韓国では、次期首相候補の親日発言をめぐる議論が白熱し、候補人の立候補辞退にまで発展した。

 現地メディアは、国連総会での朴槿恵(パク・クネ)大統領の発言を取り上げ、同氏が日韓関係の悪化を警戒し、日本に対する直接的な批判を避けたことを報じた。

 一方、ある韓国メディアは、反日問題を取り上げる傍ら、中国の動きにも警戒感を表していると報じている。

 以下、昨今の主要な海外の反応をまとめる。

1)韓国首相候補、「親日」バッシングで辞退 歪曲報道が発端も、反日世論やまず

 KBS(韓国放送公社)は、韓国の文昌克(ムン・チャングク)首相候補は、自身が開く講演会で、日本による植民地支配という苦難が必要だったという見解を述べ、大きな批判を浴び、そのことをきっかけに立候補を辞退したと報じた。

 韓国の評論家は、植民地支配を正当化している、と同氏を批判した(ニューヨーク・タイムズ紙)。日本の右翼政治家が、植民地支配正当化のために発言を利用する、と懸念しているというのだ。

 昨今、韓国のメディアが政治家を過度に非難することが問題となっているという。大統領のスポークスマンは、「虚偽の報道」によって文氏が辞退する結果となったと批判した。中央日報も、KBSが同氏の講演について、親日史観だけを浮き彫りにする「歪曲報道」を行ったと非難している。

(朴大統領の首相人事は、2ヶ月足らずで候補2人が相次いで辞退、という異常事態になっていた。発端となったKBSの報道には「歪曲報道」との批判が出ているが、世論、議員とも批判がやまなかったと報じている。)
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2)韓国紙、「反日共闘」の中国を警戒 “甘い言葉で懐柔”、“歴史を歪曲”

 韓国紙は、習主席が首脳会談で、来年の「抗日戦争勝利70周年」記念行事の中韓共同開催を提案したことについて、これまで北朝鮮を重視してきた中国の外交姿勢からは考えられないことだと報じる一方、警戒感をあらわにしている。

 中央日報は、中韓の歴史的な共闘関係についてふれた講演について、「甘い言葉で韓国人を懐柔」しただけのものと批判した。さらに、習主席が講演で、中国の朝鮮戦争介入についてふれなかったことを挙げ、「あやしい歴史歪曲だ」と厳しく非難した。

(海外主要メディアは、韓国がこれ以上中国外交を積極的に推進するとは予測していない。ウォール・ストリート・ジャーナル紙のコラムニストMichael Auslin氏は、日本・アメリカは韓国との関係を深める必要に迫られており、それは特に日本の姿勢にかかっている、とみている。アメリカは安倍首相を説得・支援し、韓国との関係改善に向けさせるべき、と論じている。)
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3)朴大統領の国連演説、日本批判は間接的 関係改善を意識か? 韓国紙も推測

 ニューヨークで開催中の国連総会において、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、日本の「慰安婦問題」を念頭に置きつつも、名指しで日本を批判することは避けた。

 朝鮮日報は、日韓関係改善への努力に対する考慮や、朝鮮半島の情勢等をめぐっての韓日米3国間の協力体制に対する悪影響への懸念も視野に入れた結果、直接的な批判とはならなかったと見ている。

 中央日報も、「具体的に『日本軍慰安婦』という表現を使わないのは日本の立場を考慮したもの」であるという政府当局者の発言を報じている。

(これまでのところ、朴大統領は日本との首脳会談を避け続けている。一方、岸田外相と尹外相との会談では、首脳会談実現、関係改善に向けての努力の継続で一致したと報じられている。今後、両国が国交改善にむけ、首相レベルでの前向きな姿勢を見せることができるか注目される。)
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4)日韓関係「改善必要」韓国専門家は70%、国民は5% メディアの論調も真っ二つ

 韓国の中央日報によると、全国の成人男女1000人が対象のアンケート調査(※1)で、「朴槿恵政権が外交的に協力を強化すべき国」に日本を選んだ回答者は、わずか4.9%だったという。

 一方、専門家30人中21人は、「韓日関係の悪化」を朴槿恵外交最大の失策として、改善を促したという。

 朝鮮日報は、日本社会で「自画自賛症候群」が広まっていると、日本のナショナリズムの高まりを批判する論調だ。日本批判が多数を占める中、中央日報のコラム「米中協力時代を切り開く韓日関係の摸索」は、日韓の国民意識の差を認めつつ、「調和と共同利益」を模索せよ、と主張する。

(こうした状況を踏まえ、韓国紙は日韓関係を分析するコラムを多数掲載している。日本の姿勢を批判するものから、韓国政府に関係改善の施策を求めるものまで、論調は多様だ。)
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Text by NewSphere 編集部