若さだけではない、仏新首相ガブリエル・アタルが期待を集める理由

Francois Mori / AP Photo

 11日にフランスの新首相に任命されたガブリエル・アタル(Gabriel Attal)は、その政治手腕だけでなく、若さ、ゲイであること、ユダヤ系のルーツを持つことなど、さまざまな側面での象徴的な存在として、注目が集まっている。

◆新首相の生い立ちと経歴
 アタルは1989年、パリ郊外クラマールに生まれた。父親はチュニジア系ユダヤ人の弁護士で映画プロデューサーの故イーヴ・アタル。母親はオデッサ出身の正教徒で、フランス旧貴族の出自を持つマリー・ド・クーリス。映画会社で働いていた人物だ。両親の影響もあってかアタルも幼少時代は演劇に関心を持ち、俳優の道を目指していたようだ。政界やビジネス界のエリートや文化人の子供が通うパリ6区の私立学校、エコール・アルザシエンにおける過去のテレビ取材の映像が残っており、演劇に打ち込む当時9歳の在学生アタルの様子が描かれている。インタビューへの受け答えは、現在の彼のメディア対応とさほど変わらないぐらいに落ち着いた様子だ。

 その後、アタルはパリの社会科学分野の特別高等教育機関として多くのエリート政治家らを輩出するパリ政治学院(Sciences-Po)に進学し、公共政策の修士号を取得。ガーディアンによれば、アタルは2002年に極右リーダー、ジャンマリー・ルペンに反対するデモに参加したことがきっかけで政治に目覚め、2006年に社会党に入党し、翌年には当時の大統領候補の1人セゴレーヌ・ロワイヤルの選挙キャンペーンを支援した。2012年からは保健省に勤務し、2016年からは社会党からマクロンが当時立ち上げたばかりの新党、後の「共和国前進」(La République En Marche!)に入党。2017年、60.94%の得票率で下院議員に当選した。

 その後、2018~20年は国民教育・青少年大臣付副大臣、2020~22年は首相付副大臣、政府報道官、2022~23年は経済・財務・産業およびデジタル主権大臣付公会計担当大臣、2023年7月~2024年1月は国民教育・若者大臣と、数々のポストを経て、今月11日、フランス史上最年少の34歳で首相に任命された。

Text by MAKI NAKATA