共和党州で中絶賛成派が勝利 州憲法改正厳格化めぐり「代理戦争」 米オハイオ州

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◆中絶の権利肯定派が優勢
 オハイオ州では現在共和党の州知事がおり、州議会も共和党が過半数を占めている。また過去2回の大統領選ではドナルド・トランプ前大統領が勝利し、上院選でもトランプ派議員が民主党下院議員の候補を破った、事実上の「赤い州」だ。しかし、昨年住民投票で中絶の権利が圧倒的に支持された中西部カンザス州のように、共和党優勢州だからといっても中絶の権利否定派が多数を占めるわけではない。今回のオハイオ州住民投票では中絶の権利だけでなく、憲法改正をより困難にすることにより、共和党が「州民の声を奪おうとしている」という点に危機感を持った人々が大挙して投票をしたという。その結果として「ノー(州憲法改正の厳格化に反対)」が過半数を占めて勝利した。

 各州の住民投票で負け続けているにもかかわらず、共和党の中絶否定派は中絶規制強化の手を緩めず、強行突破を試み続けている。これは一部の政治家が押しつけようとしている思想を、大多数の国民が拒絶していることを表しているにほかならない。今回の投票結果を踏まえ、11月にオハイオ州で実施される住民投票では、主に民主党と無所属派が支援する中絶の権利肯定派が優勢になると見られている。この住民投票で肯定派が勝利すれば、もう一つの共和党が優勢な州で中絶の権利が回復することになる。

Text by 川島 実佳