「トランプ氏起訴」で共和指名争い、さらに混乱か 扱いに困る候補者たち

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 アメリカのトランプ前大統領が8日、機密文書持ち出しと隠匿問題をめぐり起訴された。これは突然のことではなく、この件の捜査を行っているジャック・スミス特別検察官にその数日前から捜査進展の動きがみられており、トランプ氏の弁護士が司法省から出てくるところを目撃されていた。またニューヨーク・タイムズ紙によると、トランプ政権時代に最後の首席補佐官を務め退任前のトランプ氏の言動を熟知しているマーク・メドウズ氏が大陪審でトランプ氏に関する証言を行った。

 このように最近トランプ氏起訴の動きがあったことから、同氏がいずれ大統領選から外れることを見込んだのか、ほかの共和党員が我も我もと予備選出馬を表明し始めていた。

◆トランプ氏起訴の動きとともに候補者倍増
 トランプ氏は大統領選候補者になることにより捜査を避けようと試みたのか、昨年11月に異例の早さで大統領選出馬を表明していた。その後は元サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー前国連大使や、カリフォルニア州の州知事リコール選挙で現職のギャビン・ニューサム知事に大敗を喫したラリー・エルダー氏などが出馬を表明。また、今春に入ってエイサ・ハッチンソン前アーカンソー州知事や、ティム・スコット上院議員、そして最近になり、かねてから出馬が噂されていたフロリダ州のロン・デサンティス知事が名乗りを挙げた。なおデサンティス氏はイーロン・マスク氏と協力しツイッターで出馬表明を行ったものの、ツイッターに不具合が起こったこともあり期待は「肩透かし」に終わったていた。

 そしてその後、6月6日には元ニュージャージー州知事のクリス・クリスティー氏が出馬表明し、翌7日にはマイク・ペンス前副大統領も出馬を表明。ペンス氏はまさか出馬表明の翌日にトランプ氏が起訴されるとは予想していなかったことだろう。また今後は現サウスダコタ州知事のクリスティ・ノーム氏なども出馬表明するのではないかと噂されており、2024年大統領選共和党予備選は候補者が乱立する状態になっている。

Text by 川島 実佳