「トランプ氏起訴」で共和指名争い、さらに混乱か 扱いに困る候補者たち

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◆トランプ氏の支持率は過半数以上
 しかしこれらの共和党候補者が「トランプ後の共和党」を作ろうとしているにもかかわらず、共和党に今のところトランプ氏ほど支持者の心をつかむ候補者は出てきていないのは明らかだ。6月5日に公表されたモーニングコンサルトの共和党予備選に関する世論調査によると、トランプ氏は現在のところ、共和党候補者のなかで支持率56%と圧倒的人気を誇っている。続くデサンティス氏は22%、マイク・ペンス前副大統領が7%で、トランプ氏から大差をつけられた結果となっている。

 これは起訴の前の世論調査結果であり、起訴後の支持率は今のところ出ていない。しかし、今年3月にニューヨーク州でトランプ氏が起訴された後に同氏支持率がかえって上がったことから、今回の起訴でもトランプ氏の支持率はそれほど影響を受けないことが予想される。また起訴されたとはいえ、裁判や判決などはまだかなり先になると思われるため、もしトランプ氏の人気が衰えなければ同氏が起訴されたままで大統領選に残り、予備選に勝利する確率はかなり高い。

◆トランプ氏の扱いに困る候補者たち
 共和党候補者たちは今も右派に圧倒的支持を受けるトランプ氏をどう攻撃しようかと考えあぐねているようだ。CNNによると、デサンティス氏はトランプ政権で債務が8兆ドル増えたことなどを例に挙げ、トランプ氏への攻撃を少しずつ開始している。またCNBCによると、つい先日出馬表明したばかりのペンス前副大統領は、2021年1月6日に起こったクーデター未遂ともいえる米議会襲撃事件や、中絶禁止問題についてのトランプ氏の姿勢を批判しているという。

 しかし、いまだに9割の共和党支持者が大統領としてのトランプの働きを支持するという状況のなか、トランプ氏を強く攻撃することは共和党支持層を怒らせることにつながり、かえって命とりになると2人とも知っているのだろう。共和党候補者たちはトランプ氏がアメリカ大統領として適した人物ではないことは熟知しているはずだが、それと同時に、トランプ氏が何らかの形で予備選を脱落し、そのトランプ支持層を取り込まなければ、予備選勝利の可能性は低いこともよく理解しているだろう。そのためには今のところはトランプ支持者を怒らせない方法で、上手く綱渡りをしていかなければならないのである。

 トランプ氏起訴とともに、ジャック・スミス特別検察官がどのような証拠を提示するのか、そしてこの「共和党三すくみ」状態が今後どのように変わっていくかに注目したい。

Text by 川島 実佳