スキャンダルに発展 トランプ邸から出てきた「極秘文書」の中身

FBIが押収した書類の受領書(8月12日)|Jon Elswick / AP Photo

 ドナルド・トランプ前大統領は8日、同氏のフロリダ州の邸宅「マーアーラゴ」が連邦捜査局(FBI)により家宅捜索を受けたことを明らかにした。当初はFBIがトランプ邸で何を探していたのかについてさまざまな憶測を呼び、この家宅捜索を行ったFBIと司法省は共和党から非難を浴びたが、その後11日になるとワシントン・ポストが、FBIが同氏宅で探していた文書のなかに核兵器に関するものが含まれていたと報道し、ニュースメディアと政界は騒然となった。

 また家宅捜索後にトランプ氏が繰り返し「FBIが証拠を植え付けた」などと虚偽の発言をしてFBIの信憑性を攻撃したことに立腹したとみられるメリック・ガーランド司法長官が11日に記者会見を開催。ABCニュースによると、ガーランド司法長官は「我々の規範が不公正に攻撃されることを黙って見ていることはできない」と発言し、家宅捜索が必要であったことを示すために連邦裁判所に捜索令状の公開許可を申し立てたことを明らかにした。そのような経緯で家宅捜索の捜索令状と、どの書類を押収したかを示す受領書が公開されると、トランプ氏が隠し持っていた文書がどのようなものかが明るみに出たのである。

◆トップシークレット含む機密文書11組を押収
 NBCニュースによると、12日に公開された捜索令状と領収書は、FBIはトランプ邸からトップシークレットを含む11組の機密文書を押収しており、これらの機密文書隠匿が諜報活動防止法を含む3つの罪状に繋がる可能性があることを示していた。これらの書類はすべてワシントンの各政府機関内に厳重に保管されておくべきもので、トランプ氏がなぜ、どのようにしてこれらを入手したかは現在のところ定かではない。しかし大統領職退任後は機密書類にアクセスできないため、在任中に何らかの形で保管してホワイトハウス退去時に持ち去った可能性が高い。

 今年1月には国立公文書記録管理局が15箱の公文書をマーアーラゴから押収しており、同局は当時、トランプ氏がまだ多くの文書を隠し持っている可能性が高いとして司法省に調査依頼を行っていたという。それ以降、司法省とトランプ氏側でこれらの公文書返還の交渉が行われており、ハフポストによると、6月には司法省高官がトランプ邸を訪れ、数個の機密文書をトランプ氏と弁護士から受け取っていた。トランプ氏の弁護士はその際、「すべての機密文書は返還され、これ以上は(マーアーラゴに)ない」と書かれた文書に署名していたという。しかしCNBCによると、今回の家宅捜索でFBIは少なくとも20箱の文書を押収しており、トランプ氏と弁護士はそれを知っていながら偽証したことになる。

Text by 川島 実佳