対日関係改善も 韓国新大統領が直面する課題とは 問われる手腕

Lee Jin-man / AP Photo

 韓国では保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が10日、大統領に就任した。5年ぶりの保守政権となる。60%を切る異例の低支持率でスタートを切った尹氏は、北朝鮮問題や日韓関係など外交問題での手腕を問われそうだ。

◆北朝鮮問題で温和姿勢
 北朝鮮問題での舵取りは、尹政権が抱える最も大きな課題の一つとなりそうだ。選挙期間を通じて北に対して厳しい姿勢を示してきた尹氏だが、10日の就任演説ではあからさまな批判を避けた。AP通信(5月10日)によると、演説では「北朝鮮が非核化完了のプロセスに本当に着手するのであれば、我々は国際社会との協業を通じ、北朝鮮の経済を大いに強化し、国民の生活水準を改善する大胆な計画を提示するだけの用意がある」と述べ、柔和な姿勢を示している。

 選挙運動中には米軍との合同演習の推進を掲げた尹氏だが、米ヒル紙(5月9日)は「実行となるとまた別の問題だ」と指摘する。同誌は「最も警戒すべきは、Nワード、すなわち核だ」と述べ、北を刺激すれば核実験で緊張を高め、「対話」の場で有利な交渉に持ち込むという常套手段に誘い込まれかねないとみる。尹政権にとっては歯がゆいが、柔和なメッセージを選ばざるを得ない現実がある。

Text by 青葉やまと