2期目は荒れる? マクロン大統領再選もルペン氏大躍進 分断深刻に

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 フランス大統領選挙の決選投票が24日に行われ、現職のマクロン大統領が極右政党「国民連合」のルペン氏を抑えて再選を果たした。一時はルペン氏の勢いが増し、マクロン氏の苦戦が報じられたが、マクロン氏の得票率は58.54%となり、2002年以来初めて2期目を務める大統領となった。もっとも経済から外交まで重い課題が待ち受けており、苦労の5年間となりそうだ。

◆極右批判で辛勝? エリート意識が嫌われたマクロン氏
 マクロン氏はエリート校の出身で、上級公務員、銀行員を経てオランド政権の経済顧問から経済大臣になった輝かしい経歴の持ち主だが、しばしば傲慢で普通の人々とは無縁だと思われているとAPは述べる。燃料費高騰が発端となった「黄色いベスト運動」では、「金持ちの大統領」と呼ばれたこともあり、一部批評家からは権威主義的な態度を批判されている。

 ルペン氏は、EUやユーロからの離脱というこれまでの物議を醸す主張を引っ込め、生活の危機を訴えて選挙戦を戦い、移民よりフランス出身者を優先する民族主義の政策を約束して支持を伸ばした。マクロン氏は自分についたイメージを振り払おうと、選挙運動の最後の2週間で次の任期をフランスの完全雇用の回復に捧げることを約束した。しかし結局、自分のマニフェストよりも極右のルペン氏がフランスの指揮を執るべきか否かを争点にしてしまったとガーディアン紙は指摘。極右政権を阻止したい有権者の票がマクロン勝利に大きく貢献したと見ている。

Text by 山川 真智子