2期目は荒れる? マクロン大統領再選もルペン氏大躍進 分断深刻に

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◆ルペン氏躍進が示す分断 2期目はより困難に
 勝利演説でマクロン氏は、次の5年間は1期目とは異なるものになると述べ「誰も置き去りにされることはない」と約束した。ルペン氏を当選させないために自分に投票した人がいることも知っていたからだとAPは指摘している。

 負けたとはいえ、怒る庶民の支持を得たルペン氏はこれまでのどの極右候補者よりも支持を伸ばした。国は深く分裂しており、政治的な怒りがデモや暴力に発展しかねない状況であるため、2期目に乗り出すマクロン氏にとっての最も差し迫った課題になると政治誌ポリティコは指摘。今後のかじ取りは難しくなると見ている。

 ウォーリック大学のフランス政治専門家ジム・シールズ教授は、2期目のマクロン氏に必要なのは、共感を示し高慢な態度を捨て、人々の日々の心配を気にしていること、金持ちの大統領ではないことを示すことだとしている(CNBC)。

◆欧州も警戒 5年後は極右政権の可能性も
 今回の選挙は、フランスのみならず欧州の多くの国々が不安な気持ちで行方を見守ったとCNNは述べる。ルペン氏が当選すれば、フランスとEU、および西側との関係が根本的に変わることになると懸念していたからだ。

 マクロン氏は選挙戦の終盤に、欧州懐疑派のルペン候補に対する「欧州のための戦い」と表現しており、マクロン氏の勝利はEUの指導者たちから歓迎された。欧州理事会のミシェル議長、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長、ドイツのショルツ首相などがお祝いのメッセージを発している。マクロン氏はCNBCの取材に対し、結果をとても喜ばしく思っており、今後はフランスと欧州のために尽力すると述べた。

 もっともCNNは、欧州の指導者たちの多くがマクロン氏を祝福する一方で、最も強力なEU加盟国であるフランスで、反EU、反西欧の感情がまだ非常に強く生きていることを痛感しているだろうと述べる。伝統的な西欧諸国にとり、マクロン氏の2期目は大きな安堵の契機でもあり警告の契機でもあるとし、極右の台頭が続けば、5年後にはまったく違う結果になる可能性もあると警鐘を鳴らしている。

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Text by 山川 真智子