台北から台湾高速鉄道で南へ約2時間。または、日本から台湾南部の高雄へ飛び、在来線で約30分北上すると、台湾最古の都市・台南に到着する。1624年にオランダ東インド会社が台湾南西部に拠点を築いたことをきっかけに、台南は国際交易都市として発展した。冒頭の写真は、1653年にオランダ人によって築かれた要塞「赤崁楼(プロビンティア城)」だ。その後、1662年に鄭成功がオランダ勢力を駆逐し、1683年からは清朝の統治下に置かれた。さらに1895年から1945年までは日本統治時代を経て、現在に至っている。
今回は台南で食べ歩いた軽い食事「小吃」(シャオチー)と、米粉を豚肉の具と共に蒸して作る「碗粿」(ワーグイ)のレシピを紹介する。
朝からはしごして食べた朝食のBest 5
米粉と具を椀に入れて蒸す碗粿

台湾料理は他の地域の中国料理と比較するとマイルドだと思う。あまり油を使わなかったり、シンプルな調理法だったり、極端に辛い味付けをしなかったり、肉もあれば魚もあるし、新鮮な野菜もある。
台湾のコンビニエンスストア(現地のセブンイレブンやファミリーマート)に入ると、大きな電気式の鍋「電鍋」に、八角などのスパイスを使ってお茶で茹でたゆで卵がたくさん入っていて、店内をいかにも台湾という香りで満たしていたりする。あのスパイス使いは台湾料理の特徴だ。日本でも最近よく見る魯肉飯の香りを思い出してほしい。
台湾の食文化のもう一つの特徴はそのスタイル。朝早くから開いている小さなお店がどの通りにもあって、大きく開いた窓のない店頭に調理台をしつらえて、店の奥や表に椅子とテーブルが並ぶ。店で食べる人もいるが、徒歩で買いにきたり、バイクで乗り付けて持ち帰る人たちもいる。お店であり屋台でありテイクアウトもできるというスタイルの小さなお店が多いのだ。
そんなお店のひとつが、台南の永楽市場にある。「一味品」は一つの味という名前の、「碗粿」(ワーグイ)と「魚羹」(ユイグン)の専門店だ。


碗粿は、米粉を水に溶いたものを椀に入れて、醤油で甘辛く煮た豚肉を入れてまた米粉を重ねて蒸し、しょうゆベースのたれをかけたもの。この店では薄く溶いたわさびもかけていた。蒸し上がった米粉は伸びた餅のようで、甘辛い具とたれがよく合う。魚羹は魚のつみれスープであっさりとしていて、しっかり醤油味の碗粿との相性がいい。
台湾の主食は米と小麦で、いずれも国産が主だ。米は米飯以外に米粉にして使うことも多い。小麦なら小籠包などの小麦粉を使った点心も充実している。中国本土の北部なら小麦、南部なら米というような気候による偏りがなく、その分料理のバリエーションが多い。
南シナ海「虱目魚」サバヒー


日本ではお目にかかることがない魚「虱目魚」(サバヒー)は台湾の国民魚ともいわれている大衆魚。名前にサバとあってもサバとは異なる種目で、南シナ海に生息している。フィリピンでもよく取れて、やはり国民魚と言われているようだ。
台南市は南シナ海に面している海岸があり、いくつかの漁港に魚が集まる。市内のあちこちの看板には「虱目魚」という文字が。虱目魚の身を粗く切って、身も皮と内臓も塩と共に茹でたものを炊いたコメにかけるのが「虱目魚粥」だ。
あっさりとした味付けではあるが、魚の臭みは一切ないのは港が近く新鮮なのかと想像したのだが、実際には養殖物が多いのだそうだ。
揚げた麺をスープで食べる「意麺」イーメン

台南のご当地麺と言えば日本でもその名を冠した店もある「台南担仔麺」(台南ターミーメン)。サッパリ目の醤油スープに蛋麺。具は細かく切った豚肉を煮たものにエビ、そしてパクチーをトッピングしたシンプルな麺料理だ。台南ならではの麺、もう一つの代表が「意麺」(イーメン)だ。
小麦粉を卵だけで練ったものを揚げたもので、それを鶏や豚をベースにしたスープでいただく。具はさつま揚げのような天ぷらに卵、それにナルトが入ることもある。なんでも日本の鍋焼きうどんにインスパイアされたものだとも言われているらしい。
あっさりとした牛肉のスープ「牛肉湯」ニューロータン


「牛肉湯」(ニューロータン)という牛肉のスープもまた台南名物の一つ。台湾全土で人気のピリリとしたトマトスープの牛肉麺とは全くの別物だ。あっさりと仕上げた牛スープにたっぷりの牛肉。日曜日の遅めの朝だったが、人気店には長い行列ができていた。この店では魯肉飯がついてくる
6月のこの日は気温30度以上、それなのにこの暑いスープのために並ぶというのは日本人にとっては意外な感じがするが、これは「薬膳」の基本。冷たい食べ物や飲み物は体を冷やして「気の巡り」を悪くするのだとか。
夏至ごろの端午の節句に「粽」ツォンを


台湾の夏至のころは旧暦の端午の節句。ドラゴンボートレースが開催されたり、粽を食べたるなどして男児の成長を祈る。台湾南部では特に盛り上がるらしい。
創業1872年という「粽」(ツォン)の店に行ってみると、表にまでテーブルと椅子を出して大盛況だった。豚肉、椎茸、海産、卵黄などの具だくさん。家族や友達同士でやってきて楽しむ人たちや、いくつも買って帰る人たちなど、この日ならでは風景だった。
日本に帰って碗粿を作って食べる

今回は台南のソウルフードのひとつ碗粿を作って食べる。日本で手に入る食材だけで作ることができる。米粉の生地、豚肉の具、上にかけるソースの3つを用意してから、椀に入れて蒸し、ソースをかける。材料は多めだが手順は簡単だ。

小さな飯椀サイズのボールで一人分。それを4人分作る。鍋底に割り箸を並べて、その上に乗せて蒸してもいいし、電子レンジの蒸すモードを使ってもいいだろう。

材料:4人分

・米粉 100g
・片栗粉 30g
・水 120ml
・熱湯 400ml
・塩 小さじ1

・焼豚 100g 5㎜の角切り
・椎茸 1個 5㎜の角切り
・玉ねぎ 1/2個 みじん切り
・醤油 大さじ2
・紹興酒または酒 大さじ2
・砂糖 大さじ1
・おろし生姜 小さじ1/2
・白胡椒 適量

・醤油 大さじ1
・酒 大さじ1
・砂糖 小さじ1
・水 大さじ1
・粉わさび 大さじ1
・水 大さじ1
・植物油 小さじ1
作り方:
1. 【具を作る】鍋に醤油大さじ2、紹興酒、砂糖、おろし生姜を入れて沸騰したら、焼き豚、椎茸、玉ねぎを入れて、弱火で15分煮る。途中で水分がなくなったら水を足す。水分がほとんどなくなるまで煮詰めたら、白胡椒を振る。

2. 【生地を作る】ボールに米粉と片栗粉を入れて、箸や泡だて器でよく混ぜたら、水を加えて全体になじませ、熱湯を加えて滑らかになるまでよく混ぜる。

3. 【ソースを作る】鍋に醤油大さじ1、酒、砂糖小さじ1、水大さじ1をいれて沸騰させる。粉わさびを水大さじ1でよく溶く。

4. 飯椀サイズのボール4つに、2の生地を半分くらいまで入れたら1の具大さじ4残して入れ、その上に残りの生地を入れて、その上に残しておいた具を均等に乗せたら、蒸し器などでで15分蒸す。


5. 3のソースわさびをかける。


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All Photos by Atsushi Ishiguro
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石黒アツシ
20代でレコード会社で音楽制作を担当した後、渡英して写真・ビジネス・知的財産権を学ぶ。帰国後は著作権管理、音楽制作、ゲーム機のローンチ、動画配信サービス・音楽配信サービスなどエンターテイメント事業のスタートアップ等に携わる。現在は、「フード」をエンターテイメントととらえて、旅・写真・ごはんを切り口に活動する旅するフードフォトグラファー。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現したものを、みんなと一緒に食べることがライフワーク。
HP:http://ganimaly.com/


